2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12650512
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
角 哲哉 京都大学, 工学研究科, 助教授 (40311732)
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Keywords | 浮遊物質濃度 / 現地観測 / 流砂 / SS / 微差圧計 / 排砂 |
Research Abstract |
河川やダム貯水池における浮遊砂濃度の観測には、一般に濁度計による連続観測とボトル採水が併用されているが、濁度計は光学的手法であることから長期安定性や高濃度測定に課題があり、一方、ボトル採水は、手間がかかる上に小流域では短時間で到達する洪水ピークを逃さずに採水を行うことが難しいのが現状である。 そこで、本研究では、浮遊砂濃度の新しい計測法として、差圧計によって流体中の密度を直接測定する手法を検討する。測定原理は、一定間隔で設定された2つの圧力検出口間における水の密度変化を高精度の圧力差検出器により計測することによりSS測定を行うものである。この手法は、連続測定が可能なことと、差圧計測による流体密度の直接測定により、高濃度計測可能であることを特徴としている。 平成12年度は、試作機による室内実験を行い、(1)差圧伝送器内に封液する流体の相違(密度・粘性など)による計測精度や計測安定性の変化、(2)計測対象場が静止流体ではなく流れが存在する場合の影響について検討を行った。カオリンを用いてSS濃度0〜5,000mg/lと差圧計測値の変化を求めたところ十分な相関関係が得られ、また、ベロシティイコライザーを取り付けることにより、流れによる動圧の影響をほぼ除去することが出来ることが確認された。 次ぎに、この試作機を実際の貯水池(天竜川水系美和ダム)内に設置して、平成12年8月から連続観測によるフィールド試験を実施し、現地における実際の流れ・濁質分・温度の変化などに対する計測安定性を調査した。9月に発生した洪水時には、流入した高濃度の流水の通過を本システムにより捉えることができ、現地においても本計測法が適用可能であることを確認した。この連続観測は現在も継続しており、長期安定性や維持管理面での課題などについてデータ収集を行っている。
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