2000 Fiscal Year Annual Research Report
既存鉄骨造体育館における柱脚の耐震診断および耐震補強に関する研究
Project/Area Number |
12650575
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
田中 剛 神戸大学, 工学部, 助教授 (90243328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田渕 基嗣 神戸大学, 自然科学研究科, 教授 (20031130)
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Keywords | 鉄骨造体育館 / 耐震診断 / 耐震補強 / 柱脚 / 構造実験 / 後施工アンカー / 骨組数値解析 / 極限解析 |
Research Abstract |
本年度は,既存の鉄骨造体育館の設計資料を収集するとともに,現在行われている補強設計の実例を検討した。得られた結果は,以下の通りである。 1)竣工してから20年以上を経過している体育館では,構造耐震指標Is値が著しく低く耐震補強を必要とする例が多い。その場合,筋かいを追加することにより構造耐震指標Is値を満足させることが多い。 2)筋かいを追加することで耐力が不十分となった露出形式柱脚では,既存柱脚のベースプレートに新たにベースプレートを溶接し,接着系の後施工アンカーを増打ちすることにより柱脚を補強している例が多い。 3)構造設計では,露出形式柱脚をピン支持と仮定し,せん断力および軸力に対して設計された例が大半を占める。耐震補強の設計例では,アンカーボルトに作用する引張軸力に対しては既存のアンカーボルトのみの耐力に基づき検討し,せん断力に対しては既存のアンカーボルトと新設の後施工アンカーの累加耐力に基づき検討している例が多い。 4)柱脚を半剛節と仮定して骨組数値解析を行ったところ,特に柱図心から離れた位置に後施工アンカーが打たれた場合では,比較的早期に後施工アンカーが引張降伏する可能性が高いことが明らかとなった。また,設計で後施工アンカーの引張耐力を無視しても,合理的な解決法にはなっていないことも指摘できた。 次に露出形式柱脚の載荷実験を計画した。実験変数は補強方法(後施工アンカーの本数および配置)であり,無補強の試験体を含めて計7を計画し,現在,実験を継続中である。 また,体育館の露出形式柱脚の耐力評価を行うため,極限解析に基づく検討を行った。その結果,特に引張軸力を受ける柱脚の耐力を適切に評価するためには,柱脚に作用する軸力,せん断力および曲げモーメントの相関を考慮する必要があることが明らかとなった。
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