2002 Fiscal Year Annual Research Report
建物の耐震安全余裕度と地域の地震被害許容値を考慮した地震荷重に関する研究
Project/Area Number |
12650580
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
松村 和雄 鹿児島大学, 工学部, 教授 (50038014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 浩之 鹿児島大学, 工学部, 助手 (60315398)
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Keywords | 地震災害 / 地震被害 / 死者数 / 建物全壊数 / 新聞調査 / 社会の衝撃度 / 災害の如限度 |
Research Abstract |
都市の規模と地震ハザードから予測される建物の被害量をある一定値に抑制するために要求される荷重の割増しを地震都市係数と呼び、その値を算定した。地震ハザードマップから,最大地動速度の500年再現期待値により,全国を5つの地域に区分した。各区域の速度の比は1.0、1.3、1.7、2.2、2.9倍とした。地震動の強さは対数正規分布、木造建物の強さは対数正規分布で兵庫県南部地震による被害調査に基づいた被害率分布を仮定した。 都市の規模は地域で異なるので,住宅・土地統計調査資料から全国694都市の住宅戸数の平均にあたる住宅総数45000戸の都市を基準として,住宅数の異なる7モデル都市を設定した。これらを全て一戸建ての木造建物と仮定して解析した。新聞報道量によるこれまでの調査から,社会に与える被害の影響が顕著となる地震被害総数の如限値を600棟であると仮定して、地震都市係数を35の地域と都市規模で算定した。 地動速度が1.7倍大きいと地震都市係数は1.6倍大きくする必要があるが、住宅数が16倍大きくなっても,地震都市係数は1.8倍となることが分かった。実際の694都市を対象として算定した結果、東京特別区で17万棟,横浜で4万7千棟,九州では,鹿児島市,宮崎市が3千棟を超える被害数となること、東京特別区では建物の強さを3.5倍すれば、被害総数を600棟とすることが可能である。ことが分かった。 各都市の地震都市係数との相関係数は、地動速度とは0.58,住宅数とは0.73で,住宅数が相関が高いこと、住宅数が10倍になると都市係数を0.77増す必要があるという結果が得られた。
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[Publications] 中原浩之, 松村和雄: "地震による建築物被害量を低減するための都市係数"日本建築学会九州支部研究報告. 第41号. 277-280 (2002)
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[Publications] 中原浩之, 松村和雄: "地震による建築物被害量を低減するための都市係数"第11回日本地震工学シンポジウム. 2249-2252 (2002)