2000 Fiscal Year Annual Research Report
出雲地方の築地松が有する防風効果に関する実験的研究
Project/Area Number |
12650598
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
黒谷 靖雄 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (30153414)
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Keywords | 防風林 / 屋敷囲い / 散居集落 / 風洞模型実験 / 超音波風速計 / 防風効果 |
Research Abstract |
本研究は,島根県出雲平野の散居集落に見られる築地松(黒松によるスクリーン状の屋敷囲い)が有する防風効果を,その茂り具合との関連において,工学的に明らかにすることを目的としている。本年度は,研究実施計画に従い以下の研究成果をあげた。 1.築地松の茂り具合(築地松遮蔽率)と剪定後の経過年数との関係に関する実態調査:築地松は平均的には4年ごとに剪定作業が実施されているが,剪定時期が明らかな30軒の築地松を,デジタルカメラで撮影し,それを二値化処理することによって築地松遮蔽率を算出した。その結果,築地松遮蔽率は,剪定1年未満では68%,5年以上で96%であり,剪定後,指数関数的に増加することが定量的に明らかになった。 2.直線状植樹列の周辺気流に関する現地実風観測:風洞実験において築地松を適切に模型化するための基礎資料を得るために,築地松と同様な剪定がされている直線状の植樹列(高さ約7m,長さ約74m)を対象として,当該地域の気流鉛直分布と,遮蔽率の異なる状態における植樹列風下側の気流性状を観測した。当該地域の平均風速鉛直分布のべき指数は約0.22であった。植樹列風下側の気流性状に関しては,遮蔽率が91%と81%の状態に関して,三次元風速ベクトルの分布データを得ることができた。 3.直線状植樹列の周辺気流に関する風洞模型実験:境界層風洞の測定部に,上記の現地実風観測に対応する乱流境界層を縮率1/300で作成するとともに,直線状植樹列周辺の地形と地物を直径約300mの範囲で模型化した。直線状植樹列は空隙率が異なる穴あきスクリーンで模型化した。現地実風観測と風洞実験の結果を比較することによって,築地松の模型化に関する基礎的データを得ることができた。
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