2000 Fiscal Year Annual Research Report
複雑適応系としての都市景観の美的秩序とそのデザインに関する記号学的研究
Project/Area Number |
12650632
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
門内 輝行 早稲田大学, 理工学部, 教授 (90114686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
積田 洋 東京電機大学, 工学部, 助教授 (60120119)
浦野 正樹 早稲田大学, 文学部, 教授 (20160335)
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Keywords | 都市景観 / 美的秩序 / 類似と差異 / 地理情報システム / 複雑適応系 / 自己組織化 / デザイン / 記号論 |
Research Abstract |
伝統的な都市景観の魅力は、様々な要素が互いに類似しながら、それぞれに個性を発揮できるような「類似と差異のネットワーク」が縦横に組み込まれているところから生じる。しかし、現代都市では、そのような都市景観の美的秩序(aesthetic order)が次々に失われている。本研究では、都市景観の美的秩序を探求することを目的として、次のような課題について研究を展開した。 1.都市景観の美的秩序・空間的秩序に関する現地調査とその記号論的分析 (1) 京都・都心部の職住共存地区(特に,御池通り〜四条通り、堀川通り〜河原町通りで囲まれた4つの街区)における町家、マンション、駐車場の現地調査を行った。その結果、伝統的町家が次々に姿を消し、マンションの建設が進み、都市景観もコミュニティも崩壊の危機に瀕していることが判明した。 (2) 地理情報システム(GIS;Geographic Information System)を導入して、数値地図・電子住宅地図をベースマップとして、現地調査および文献調査の結果をデータベース化した。 2.都市景観の美的秩序の複雑適応系としての把握 (1) 任意の数に分割できるグリッドからなる仮想都市を想定し、その中に数種類の要素がランダムに分布している状態から出発して、各要素がその周辺の要素との関係に応じて移動するというルールを設定してシミュレーションを行うと、創発的な空間パターンが姿を現す自己組織化現象を観察できた。 (2) 1.で得られた町家、マンション、駐車場の空間分布を対象として自己組織化のメカニズムについて考察を進めている段階である。この問題の詳細な検討は、次年度の中心的な研究課題となる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 門内輝行: "シンセシスの科学としての人間-生活環境系のデザイン方法論の展望-"第3回生活環境設計シンポジウム講演論文・討論集(日本学術会議). 28-33 (2000)
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[Publications] 門内輝行: "ものづくりの暗黙知"すまいろん(住宅総合研究財団). 57号. 6-27 (2001)
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[Publications] 門内輝行: "意味づけられた場所・美しい風景の創造-デザインの科学の展望-"建築雑誌(日本建築学会). Vo.112,No.1465. 16 (2001)
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[Publications] 門内輝行: "建築・都市記号論のパースペクティブ"早稲田建築2001. (発行予定). 2001
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[Publications] 積田洋 ほか3名: "エレメント想起法による都市空間の把握-京都の景観に関する研究(その12)-"日本建築学会大会学術講梗概集. E-1. 889-890 (2000)
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[Publications] 積田洋 ほか3名: "シミュレーション手法による景観の分析-京都の景観に関する研究(その13)-"日本建築学会大会学術講梗概集. E-1. 893-894