2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12650651
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
越後谷 淳一 岩手大学, 工学部, 教授 (00005539)
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Keywords | 多層膜 / 組織 / 強度 |
Research Abstract |
近年、マイクロデバイスやマイクロマシンなど、機器の多機能化、高性能化に伴って材料の小型化、薄膜化がなされ、そのような材料の信頼性が大きな問題となっている。この種の材料の多くは多層で用いられており、多層薄膜の力学的性質を研究することは重要である。しかし、薄い膜の機械的性質の測定は、その試料形状からきわめて困難であった。本研究では、圧延した多層薄膜の組織と力学的性質を調べ、その変形機構を明らかにする目的とした。 ニッケル-銀多層薄膜について膜厚の比が1:1の場合について行い、以下の結果を得た。 1. 一層の厚さが薄くなるにしたがって強度は増加した。強度と一層の厚さの関係は、いわゆるホール・ペッチの関係が成り立った。お互いの層が転位の運動に対して粒界と同じような働きをしていると推察できる。しかし、層の厚さが非常に薄い場合には、ホール・ペッチの関係からずれ、強度の増加が小さくなった。これは界面での鏡像力が効いてくるためと考えられる。2. それぞれの組み合わせる金属の種類により同じ厚さでの強度が変化した。剛性率の差が大きい組み合わせほど強度が増した。 また、ニッケル-銀多層薄膜について膜厚の比が5:1の場合について機械試験を行い、1:1の場合と比較した。その結果、多層薄膜の強度は剛性率が小さい銀の一層の厚さで整理すると膜厚の比が変わっても伺様になることがわかった。これから多層膜の強度は剛性率の小さい層の転位の移動に対する抵抗力によって決定されており、また膜厚によりホールペッチの機構からケーラーモデルに変化することがわかった。
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