2001 Fiscal Year Annual Research Report
ホウ化物セラミックスを用いた耐酸化性C/Cコンポジットの作製および性質
Project/Area Number |
12650673
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
松下 純一 東海大学, 工学部, 助教授 (50281746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 榮一 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (70016830)
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Keywords | C / Cコンポジット / ホウ化ケイ素 / 酸化 / 耐酸化性 / 熱分析 / 酸化膜 / 保護膜 / ホウ酸 |
Research Abstract |
炭素繊維強化炭素複合材料(以下、C/C複合材料)は、1750Kを超える超高温下で比強度が優れている。しかし、C/C複合材料は、繊維ならびにマトリックスにおいて、構成素材のすべてが炭素から成っているために、800K以上の酸化雰囲気においての酸化消耗が激しいという短所を持っている。本研究では、ディッピングによる含浸法を用いて、C/C複合材料の表面にSiB_6を被覆し、優れた耐酸化性能を付与することを目的とした。実験用のC/C複合材料は、市販の日本カーボン製CCM-190Cを用いた。C/C複合材料は、ダイアモンドカッターを用いて、5×10×5mmのサイズに切り出し、アセトン中で30min超音波洗浄処理を行った。この試料にSiB_6を被覆するために、トリエチレングリコール中にSiB_6粉末を分散させ、含浸法を用いて行った。含浸に用いたSiB_6粉末は、それぞれ純度98.5%、平均粒径5μmのものを用いた。得られた試料から分散媒であるトリエチレングリコールを完全に蒸発させるために、623Kで脱脂処理を施した。これによりC/C複合材料は、SiB_6量が試料全質量の約1〜5mass%で、試料全表面にSiB_6を被覆することができた。C/C複合材料の耐酸化性評価のために、昇温酸化実験および定温酸化実験を行った。実験は、熱分析装置を用い、昇温速度10K/minの条件で、室温から1273Kの条件で行った。未処理のC/C複合材料および含浸法により試料全表面にSiB_6を被覆した試料は、未処理のC/C複合材料に比べて、優れた耐酸化性を有することが明らかになった。X線回折分析の結果、SiO_2とB_2O_3と考えられる回折ピークが認められた。この結果から、SiB_6が、高温酸化時に、SiO_2とB_2O_3の酸化生成物を形成し、非常に強固な酸化保護膜になり得たものと考えられる。すなわち、酸化により表面に酸化生成物として生成するホウ酸ガラス系酸化保護膜が、高温下で優れた耐酸化バリアとして機能する可能性があることが明らかになった。さらに、未処理のC/C複合材料および含浸法により、SiB_6を含んだ組成の被覆試料の定温酸化に伴う質量変化の割合は、酸化温度および酸化時間の増加に伴って減少する傾向を認めた。減少の割合は、高温になるにつれて大きくなり、1273K以上でその傾向がより顕著に認められた。この方法の特徴として、C/C複合材料を直接溶液に含浸させるために複雑な形状物にも適用できる点にあり、SiB_6を被覆した試料は、被覆量の増加に伴って、良好な耐酸化性を有することが明らかになった
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[Publications] S.Tanaka, N.Fukushima, J.Matsushita, T.Akatsu, K.Niihara, E.Yasuda: "Mechanical Properties of SiB_6 Addition of Carbon Sintered Body"Smart Materials,The International Society for Optical Engineering. 4243. 346-354 (2001)