2000 Fiscal Year Annual Research Report
極短パルスレーザー光が誘起する酸化物ガラス中の光化学反応とその応用
Project/Area Number |
12650674
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
渡邉 裕一 東京理科大学, 基礎工学部, 助教授 (70220936)
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Keywords | 酸化物ガラス / フェムト秒レーザー / 感光性 / 光化学反応 |
Research Abstract |
研究計画に従い、リン酸カルシウムガラスの作製ならびに高強度フェムト秒パルスレーザー光に対する非線形感光特性の観測と評価を行った。組成50CaO-50P_2O_5のガラス試料を通常の溶融急冷法により作製した。試料は、鏡面研磨を施し厚さ約0.5〜4mmの平行平板状にして用いた。これにSErF/Ti:Sapphireレーザー(Clark-MRX社製;CPA2001)の基本波(波長775nm)とその2倍波(波長388nm)を光源とし、入射光パワー10mW〜100mWで照射実験を行った。レーザー光の照射により、POHCに起因する色中心生成(赤色の着色)が観測された。2倍波(波長388nm)照射では「光路全体」に着色が観測されたが、基本波(波長775nm)照射では「出射面及び出射面側の内部」に着色が観測された。レーザー光照射前後での吸収係数の差Δαは、照射パワーの増大にともなっで増加した。2倍波照射におけるΔαの変化は、既に研究代表者が過去に解析した二光子吸収が誘起する光化学反応を仮定したモデルを用いて半定量的に説明することができた。これに対して基本波照射におけるΔαの変化は、ある程度の入射光強度になるまでΔαの増加が見られなかった。つまり、基本波照射では感光性の発現に際し、入射光パワーに明らかにしきい値を持っていた。これに対して光出射面での顕著な着色を詳細に解析した結果、フェムト秒光パルスに特有な現象として知られる、光周波数のsuperbroadeningが感光性に寄与することを指摘した。
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