2001 Fiscal Year Annual Research Report
無電解金属めっき廃液の処理と再資源化システムの構築に関する研究
Project/Area Number |
12650730
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Research Institution | Fukui University |
Principal Investigator |
永長 幸雄 福井大学, 工学部, 教授 (20020224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀田 紀好 福井大学, 工学部, 教授 (60020195)
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Keywords | 無電解めっき / 廃液処理 / 再資源化 / リン酸塩 / リサイクル / 光触媒 / 沈殿分離 / 肥料 |
Research Abstract |
無電解めっき法は非電導性部品に対しめっきでき,膜圧の均一なめっきが可能であるといった電解法にはない利点を有し,今後もその需要が期待できるめっき法である.ところがこのめっき法は,金属を析出させる方法として,電気ではなく還元剤を用いているため,めつき浴には還元剤が酸化した物質が生成し,やがてはめっき反応が停止してしまう.反応が進行しなくなっためっき浴は,廃液として廃棄処分することになる.廃液中には金属イオンやリン化合物が含まれ,安易な廃棄は重大な環境汚染を引き起こす懸念がある.本年度は,水中の汚染物質を分解処理する有効な方法として関心を集めているチタン酸化物を用いる光触媒反応法に着目し,これにより還元性リン酸イオンの酸化分解を行い,リン酸塩を生成してリンを再利用できるよう沈殿分離する方法についての基礎的研究を行った結果について報告する. 亜リン酸水素ニナトリウムおよび次亜リン酸ナトリウムを用いて0.1M亜リン酸と次亜リン酸混合溶液を調製した。これをさらに100倍に希釈して1.0×10-3M溶液を調製した。1.0×10-3M溶液をビーカーに入れ、水銀灯より380nm以下の紫外線を直接試料中に照射した。試料の中には酸化チタンを加え、連続撹拌を行った。所定時間経過後に試料溶液を1ml採取し分析を行った。分析は、DEAE-5PW陰イオンカラムを用いて、イオンクロマトグラフ法により定量した。 2.0×10-3Mリン酸溶液5mlに10倍モル過剰な塩化アンモニウム5mlを加えた。この溶液に、塩化マグネシウムを1.0mlから10.0mlを添加し、リン酸マグネシウムアンモニウムを沈殿生成させた。このときのpHを水酸化ナトリウムで調整し、pH8.3〜8.8にして実験を行った。 亜リン酸イオンおよび次亜リン酸イオンの酸化分解反応が,pHの変化によってどのように変化するのかを調べた。その結果、次亜リン酸イオンと亜リン酸イオンの初濃度はそれぞれ1.0×10-3MでありpHが高くなると、次亜リン酸イオンおよび亜リン酸イオンの分解が速やかに行われ、それに伴いリン酸イオンの濃度が増加しているのがわかる。pH=10.0では、次亜リン酸イオンが1時間30分、亜リン酸イオンが3時間30分で,ほぼすべてがリン酸イオンに酸化分解された。 本研究では、光触媒反応において酸化チタンの添加量やpHの変化が、亜リン酸イオン、次亜リン酸イオンの酸化分解反応にどのような影響を与えるかを調べ、よりよい分解方法について検討した。酸化チタンの添加量が多いほど酸化分解は迅速行われ,添加しない場合は分解が進行しなかった.pHは高いほうが分解が迅速に行われた.また、塩化マグネシウムの添加量による沈殿生成後のリン酸イオン濃度は、塩化マグネシウムの添加量が多いほど小さくなった.リン酸マグネシウムアンモニウムは肥料としてとても有用であり、また,沈殿生成後のリン酸イオンの濃度も小さいので,この方法はリン酸イオンの除去にかなり有用であると思われる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 堀田紀好: "無電解めっき廃液処理技術開発に関する研究"福井大学地域共同研究センター年報. 8. 64-64 (2000)
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[Publications] Y.Nagaosa: "Catalytic oxidation of phosphite and hypophosphite on Pd/carbon powder"Carbon. 39. 2087-2088 (2001)