2001 Fiscal Year Annual Research Report
複雑狭隘路を掃引する機能性流体による伝熱促進法に関する基礎研究
Project/Area Number |
12650753
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
鈴木 洋 神戸大学, 自然科学研究科, 助教授 (90206524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
薄井 洋基 神戸大学, 工学部, 教授 (20107725)
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Keywords | 廃熱回収 / 機能性流体 / 急拡大急縮小流路 / 熱伝達促進 / 粘弾性モデル / 数値解析 |
Research Abstract |
複雑狭隘路における熱伝達促進を、流体に非ニュートン性を持たせた機能性流体が、狭隘路における循環流域を縮小させる性質を利用して行う方法の可能性を調べるために、縮小拡大を繰り返す流路を対象とした基礎研究を行った。本年は拡大部と縮小部との比が3:1の上下対称形状流路を対象にし、カチオン系界面活性剤である塩化オレイルビスヒドロキシエチルメチルアンモニウム2000ppmと、その対イオンとして、サリチル酸ナトリウムを1・5倍モル添加した水溶液を機能性流体として用いた実験を行った。流動条件として、スタントン数が大きくなる層流域となる条件を選定し、その場合の水の粘度基準のレイノルズ数は、ステップ高さを基準として1,420から5.000の範囲とした。縮小部および拡大部を一様熱流束条件で加熱し、壁温を測定することによって、熱伝達率拡大部底部の熱伝達を測定した。同時にインク注入法によって流れの可視化を行い、急拡大部直後および縮小部直前に形成される循環流域の観察を行った。 その結果、粘弾性流体を用いた場合には、拡大部の上流域で熱伝達が水の場合に比べて急増することがわかった。一方で拡大部下流部の前向きステップ近傍では、熱伝達が急減することがわかった。これは粘弾性流体を用いた場合には、拡大部上流域で後ろ向きステップ下流域における循環流域が、粘弾性に起因するBarus効果によって縮小し、そのことで上流部で熱伝達が上昇する一方で、下流域では、前向きステップ上流域に巨大な循環流域が形成されるためである。一方で、水を用いた結果では、後ろ向きステップ下流域に形成される循環流域により、拡大部上流部では熱伝達が低下するが、その後流れの不安定によって拡大部下流域では乱れが生ずるため、熱伝達は下流に向かって回復する。そのため本実験条件範囲では、粘弾性流体を用いた結果と、水の結果の平均熱伝達に顕著な差異は観察されなかった。しかしながら、本手法が少なくとも後ろ向きステップ下流に形成される循環流域の縮小およびその領域での伝熱促進に有効であることがわかった。 次年度では拡大縮小の幾何学的パラメータを変更することによって、本熱伝達促進法がさらに有効となる条件について検討し、また数値計算の手法により、熱伝達促進機構の解明について詳細に調べる予定である。
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