2000 Fiscal Year Annual Research Report
熱応答性高分子ゲルを用いた金属イオンの選択的能動輸送
Project/Area Number |
12650762
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
酒井 保藏 宇都宮大学, 工学部, 助教授 (70186998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 紀弘 宇都宮大学, 工学部, 助手 (00261818)
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Keywords | 熱応答性ゲル / イソプロピルアクリルアミド / 能動輸送 / 体積相転移 / 濃縮 / 銅イオン |
Research Abstract |
熱応答性高分子の一つであるポリN-イソプロピルアクリルアミド(NIPA)ゲルの調製時、官能基モノマーを少量混合すると、金属イオンと親和性をもつゲルを調製できる。このポリNIPAゲルは25℃で膨潤状態、45℃で収縮状態となる体積相転移による熱応答性を示す。そのとき、ゲルは膨潤状態で金属イオンとの親和性が低下し、収縮状態で金属イオントの親和性が増加する。これを利用し、低温側で脱着、高温側で吸着を行わせ、わずかな温度差を推進力とした金属イオンの分離や能動輸送および濃縮システムの構築と評価を行った。50μM CuCl_2/NaCl溶液300mlを2つ用意し、一方を25℃、もう一方を45℃の恒温槽に付けた。45℃の溶液に調製したゲルを5g測り入れ、銅を吸着させてからゲルを取り出し25℃の溶液に移して銅を放出させ、この操作を3回繰り返した。一定時間ごとに溶液をサンプリングし、高温槽低温槽それぞれの銅溶液の濃度変化を測定した。その結果25℃から45℃に温度ジャンプさせるとゲル中に銅が吸着され、平衡状態になったところで再び25℃に戻すと銅がゲルより放出された。この原理を用いて高温槽で吸着した銅を低温槽で放出させる操作を3回繰り返した結果、1回の吸脱着操作で高温側の約30%の銅イオンが低温側に移動した。液の輸送は無視できた。2回目、3回目とさらに輸送でき、最終的には95%以上の銅イオンが低温側に移動し、低温槽中の銅イオン濃度は初期値の1/100程度まで低下した。各種条件で検討したところ、最大で100倍程度高濃度側への能動輸送が行なえることがわかった。
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