2000 Fiscal Year Annual Research Report
交互積層膜を用いた海水中からのリチウムの高選択的分離システムの開発
Project/Area Number |
12650769
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
吉塚 和治 佐賀大学, 理工学部, 助教授 (70191567)
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Keywords | 吸着分離 / 膜分離 / リチウム吸着剤 / 二酸化マンガン / 吸着かラム / 交互積層膜 |
Research Abstract |
本研究では、高濃度にナトリウムが存在する海水中から極低濃度(0.1〜0.2ppm)のリチウムを選択的に分離回収することを目的として、新規のλ型二酸化マンガン系吸着剤の開発を行った。次に、交互積層膜による膜透過モジュールおよび吸着剤を充填したカラムモジュールを用いて、リチウムを分離回収する基礎的実験を行った。 (1)新規のλ型二酸化マンガン系吸着剤の合成と評価 吸着剤原料であるスピネル型マンガン酸リチウム(一般的組成:LiMn_2O_4)は、酸化マンガンとリチウム塩の混合物を電気炉中で、混合割合、焼成温度または時間などを変える事により様々な組成のものを合成した。λ型マンガン酸化物系吸着剤の製造は、得られたスピネル型マンガン酸リチウムと1M塩酸をリチウム/酸モル比、1:40で混合しリチウムの脱着を5回繰り返し行って合成した。得られた物質はX線回折により確認を行ったところ、この酸処理条件下であればスピネル構造を保持したままリチウムのみを効果的に除去することができることを確認した。 (2)交互積層膜の合成と評価 上記で合成したλ型2酸化マンガン懸濁水溶液ヘアルギン酸膜を30分浸漬し、室温にて風乾させた後、アルギン酸ナトリウム水溶液へ30分浸漬して膜表面へのポリマーの積層化を行った。この膜を塩酸水溶液へ浸漬してアルギン酸の不溶化を行い、水で洗浄後、風乾させた。この操作を数回繰り返して交互積層膜を合成した。また、回数ごとの交互積層膜表面の観察は、走査型電子顕微鏡を用いて行い、積層化の過程を確認した。 (3)模擬海水からのリチウムの選択的分離実験 ガラス製の膜透過および吸着かラムモジュールと送液ポンプなどと組み合わせて、リチウムの選択的分離システムを製作した。これを用いて、模擬海水でのリチウムの吸着分離および膜透過分離を行い、リチウムと他の共存金属イオン(特にナトリウム)の選択分離特性や分離速度に対する影響を明らかにしている。
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