2001 Fiscal Year Annual Research Report
交互積層膜を用いた海水中からのリチウムの高選択的分離システムの開発
Project/Area Number |
12650769
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
吉塚 和治 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (70191567)
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Keywords | 海水 / リチウム / 2酸化マンガン / 吸着分離 / カラム分離 / 交互積層膜 / 膜分離 |
Research Abstract |
本研究では、海水中からのリチウムの効率的な選択的分離回収を目的として、1.リチウム/ナトリウム選択性の極めて高い新規のλ型2酸化マンガン系吸着剤の開発、2.この吸着剤の性能評価、3.この吸着剤を用いて交互積層膜の調製、および、4.交互積層膜を用いた膜透過モジュールによる海水中からリチウムを分離回収するシステムの構築を行った。この研究の結果、以下のような成果が得られた。 1.リチウム/ナトリウム選択性の極めて高い新規のλ型2酸化マンガン系吸着剤の開発 4酸化3マンガンと水酸化リチウムを原料として、空気雰囲気下高温の電気炉で焼成を行うことによってスピネル型酸素過剰マンガン酸リチウムを製造した。この中間体から、塩酸水溶液または硝酸水溶液を用いてリチウムを溶離することによって、リチウムイオンを高選択的に認識するλ型2酸化マンガン系吸着剤を開発した。本成果は平成14年2月22日に特許出願を行った(特願2002-46288)。 2.新規の2酸化マンガン系リチウム吸着剤の性能評価 以上で合成した吸着剤のリチウム/ナトリウム選択性を測定した結果、バッチ法では800倍以上の選択性、カラム法では2300倍の選択性が得られた。この選択性は現在知るところでは世界一の性能である。本成果は平成14年2月22日に特許出願を行った(特願2002-46288)。 3.交互積層膜の調製 λ型2酸化マンガン懸濁水溶液のアルギン酸膜への浸漬、アルギン酸ナトリウム水溶液への浸漬を交互に行うことによって交互積層膜を合成した。 また、回数ごとの交互積層膜表面の観察は、走査型電子顕微鏡を用いて行ったところ、交互積層化は行われていることが分かった。 4.模擬海水からのリチウムの選択的膜透過実験 交互積層膜を用いて、模擬海水でのリチウムの膜透過速度に対する実験条件の影響について詳細に調べた。研究の結果、積層回数が増加すると、リチウム/ナトリウム選択性が大きく向上することが分かった。しかしながら、カラム分離の場合のような高選択的分離は達成することができなかった。
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Research Products
(1 results)