2000 Fiscal Year Annual Research Report
高分子分解触媒の開発とプラスチックリサイクル及び水素製造への応用
Project/Area Number |
12650772
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
上道 芳夫 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (90168659)
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Keywords | 分解 / プラスチックリサイクル / ガリウムシリケート / ホウ素シリケート / 水素 |
Research Abstract |
種々のメタロシリケート、ゼオライト、メソポーラス物質、およびそれらに金属を担持した化合物を触媒とするポリオレフィンの分解を行い、高分子(プラスチック)を選択的に分解する触媒の開発とリサイクルプロセスの確立について検討した。その結果、以下のことが明らかになった。 1.ガリウムシリケートおよびガリウム担持ZSM-5はポリオレフィンを芳香族炭化水素と水素へ分解する有効な触媒であった。芳香族の主成分はベンゼン、トルエン、キシレン(以下、BTXと略記する)であり、BTXの収率は50-60%に達した。同時にポリエチレン中の水素の25%を水素ガスとして回収することができた。熱分解では、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレンから異なる生成物が得られたが、ガリウム触媒を用いると3種類のポリオレフィンから同一組成の生成物が得られた。ガスクロマトグラフ/質量分析計による分解生成物の詳細な分析から、ガリウム触媒上では不飽和分解フラグメントの骨格異性化反応が極めて速く進行し、いずれのポリオレフィンの分解においても同様の中間体を経て反応が進むため、ポリオレフィン構造の差異は生成物の組成に反映しないことがわかった。次に、ガリウム触媒を繰り返し使用して活性の持続性について検討したところ、ガリウム触媒ではコーク析出量が極めて少なく、触媒活性は長時間持続することがわかった。このように、ガリウム触媒は優れたポリオレフィン分解触媒であり、プラスチックのケミカルリサイクルおよび新しい水素製造プロセスへ応用できることを明らかにした。 2.ホウ素シリケートは、ポリオレフィンの低級オレフィンへの分解に対して高活性な触媒であることを明らかにした。とくにプロピレンとブテンを選択的に生成することがわかった。この新触媒の開発により、廃棄ポリオレフィンから石油化学工業において重要な低級オレフィンを回収する新しいプラスチックリサイクルプロセスの構築が可能になった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kazuhiko Takuma: "Production of Aromatic Hydrocarbons by Catalytic Degradation of Polyolefins over H-Gallosilicate"Industrial & Engineering Chemistry Research. 40,(4). 1076-1082 (2001)
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[Publications] Kazuhiko Takuma: "A Novel Technology for Chemical Recycling of Low-Density Polyethylene by Selective Degradation into Lower Olefins Using H-Borosilicate as a Catalyst"Chemistry Letters. (4)(in press). (2001)
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[Publications] Yoshio Uemichi: "Chemical recycling of polyolefins by degradation into hydrogen and aromatic hydrocarbons using H-gallosilicate catalyst"2000 International Chemical Congress of Pacific Basin Societies, Honolulu. ENVR 297 (2000)