2001 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界水や亜臨界水を利用する新規の分離分析法と連続流れ分析法の開発
Project/Area Number |
12650795
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
森下 富士夫 京都大学, 工学研究科, 助教授 (30026281)
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Keywords | 亜臨界水 / 水移動相を用いるクロマトグラフィー / 保持の選択性 / 保持指標 / 保持ベクトル / 連続流れ分析 / 同時定量 |
Research Abstract |
超臨界水や亜臨界水を移動相とするクロマトグラフィーを確立するには分離特性の明確化が重要である。この観点からの研究の一層の深化を図った。分離の特性の一面はカラム効率である。水移動相の温度に伴うカラム効率の変化を評価した。170℃以下では、カラム効率はほとんど変化しないが、以後温度の上昇とともにカラム効率は徐々に低下し、200℃を超えると急激に低下した。これは拡散係数などの物理的性質から予想していたのと異なる。分離特性のもう一つは保持挙動である。前年に提案した一組の標準溶質による保持の選択性の表現と評価をより具体的に展開した。広範囲の温度範囲で、また、混合移動相での評価を可能にするために、酢酸アルキル同族体を測定の基準として、単純な要素であるメチレン基に相対するものとして、保持指標を分離条件ごとに決定した。これによって任意の溶質について保持指標の測定が可能となった。標準溶質群はMcReynolds数、Snyderの溶媒分類法を考慮して異なるタイプの原子団をもつ5つの化合物を選んだ。標準溶質と同形炭化水素の保持指標差として各原子団の寄与を測定し、これらを要素とするベクトルとして各分離条件の保持特性を表現した。メタノール-水混合移動相を高温水移動相との比較の対象とした。同じ溶媒強度を示す水移動相の温度と混合移動相の組成で比べると、各原子団の寄与に若干の違いが見られ、混合移動相の組み合わせの違いと比較することによって、水移動相の保持の選択性の特徴がこのような表現によって的確に評価できることが判明した。水移動相の温度による保持の選択性の変化は混合移動相の組成を変えたときより小さいことも判った。 亜臨界水をキャリヤーとする連続流れ分析法の高機能化のために同時定量の基礎的検討を行った。反応場と分離場を交互に備えることによって、1回の試料注入で30分以内に5成分までの同時定量を可能にした。分析時間を大幅に短縮するために、各部分の合理的設計を検討している。
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