2000 Fiscal Year Annual Research Report
ポルフィリン誘導体を用いる遷移金属イオンセンサーの開発
Project/Area Number |
12650801
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
森内 隆代 (川上 隆代) 大阪工業大学, 工学部, 講師 (60288751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 洋 通商産業省工業技術院, 大阪工業技術研究所, 研究室長
杉野 卓司 通商産業省工業技術院, 大阪工業技術研究所, 研究員
渋谷 康彦 大阪工業大学, 工学部, 教授 (00103002)
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Keywords | ポルフィリン誘導体 / イオン選択性電極 / 銀イオン選択性 / 液晶性 |
Research Abstract |
液膜型イオン選択性電極(ISE電極)は、目的イオン濃度を迅速かつ簡便に測定できるデバイスとして広く汎用されており、各種カチオンに対応するISE電極がカチオンセンサーとして開発されている。しかしながら、遷移金属イオンに対応するISE電極は非常に少なく、また、遷移金属イオン間の識別能が低いのが現状である。本研究では、遷移金属イオンに対する錯形成能を充分に発揮することが期待されるポルフィリン誘導体に着目し、遷移金属イオンセンサーの開発を目的とした。その一方で、ポルフィリン誘導体は現在、その液晶としての性能も注目されている。そこで、本研究ではさらに、液晶の分子配列とイオン識別能の相関についても検討・評価することにした。本年度は、長鎖アルキルC_<12>H_<25>を持つフェニル基をパラ位に導入したポルフィリン誘導体(5,10,15,20-テトラフェニルポルフィリン)を合成した。長鎖アルキルC_<12>H_<25>は、ISE電極においては脂溶性を高めて電極応答性の向上に繋がり、また、液晶性においては相転移点の低下に繋がると予想されたので、本研究におけるポルフィリン誘導体のターゲット置換基とした。その結果、銀イオンに対して非常に優れた電位応答性・選択性を示すことが明らかとなった。まだ、ISE電極の最適条件等を行っている段階ではあるが、銀イオンに対する各種カチオンの選択係数(log k<Pot【chemical formula】g,M>)は、Cu^<2+>=-1.36,K^+=-1.68,Pb^<2+>=-1.70,NH_4^+=-1.81,Co^<2+>=-2.31,Mg^<2+>=-2.53,Na^+ and Cd^<2+>=-2.78,Zn^<2+>=-2.79,Mn^<2+>=-2.84,Li^+=-2.89,Ni^<2+>=-3.20,Ca^<2+>=-3.66となっている。銀イオンよりも選択性が高くなると予想された鉄イオンに対する選択性は、プロトン妨害により現在正当に評価出来ていない。ちなみに、銀イオンに対するプロトンの選択係数は、H^+=-0.20であった。銀イオンに対して高い選択性を示したのは、ポルフィリンがアザクラウン類であるからだと考えられる。現在、液晶性とイオン識別能の相関について検討・評価を行っている。
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