2001 Fiscal Year Annual Research Report
食肉の品質安全管理のための電位計測式食肉鮮度センサの開発
Project/Area Number |
12650802
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Research Institution | Ariake National College of Technology |
Principal Investigator |
正留 隆 有明工業高等専門学校, 物質工学科, 助教授 (30190341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 哲 東亜ディーケーケー株式会社, 商品開発部, 課長
金木 則明 室蘭工業大学, 工学部・情報工学科, 助教授 (40125373)
浅野 泰一 八戸工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (80311108)
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Keywords | 食肉 / 品質管理 / 電位計測型センサ / 鮮度センサ / ORP電極 / pH電極 / 硫化物イオン電極 / 細菌数 |
Research Abstract |
1.食品の鮮度劣化は、蛋白質が食品に付着している嫌気的並びに好気的微生物による酸化還元反応によって、蛋白質が分解されることによって生じると考えられる。従って、食肉を構成する蛋白質から食肉の鮮度劣化に伴って、水素イオン、酸化還元物質、硫化成分などの濃度変化が予想される。これらの物質には既に化学センサが用意されているので、食品の鮮度管理用のマルチチャンネル化学センサによる食肉鮮度センサの構築は可能となるものと考えられる。そこで、本研究では、このような考えに基づき、化学センサによる食肉の鮮度劣化を判定する方法の開発のための基礎的検討を行うことを目的としている。 2.食肉10gを超純水200mlに1分間浸し、食肉を取り除いた溶液を水抽出試料溶液とした。この溶液に校正済みのpHセンサ及びNH_4^+センサ、S^<2->センサ、及び酸化還元(ORP)電極を浸し、これらのセンサを浸せきしてから12分後の4本のセンサの指示値を同時測定した。これらセンサは、電気化学計器株式会社製の液体膜型アンモニウム電極、6154型ORP電極、固体膜型硫化物イオン電極、ノンリーク塩化銀内極6157-W型pH電極をそれぞれ用いた。20℃、10℃及び5℃で保存した豚肉を食肉の試料として用いた。また、この水抽出試料溶液を希釈し、その10μlをフードスタンプ標準寒天培地に塗り広げ、10℃の場合は5日間、5℃の場合は13日間培養後の細菌数をコロニーカウント法により求めた。 3.10℃で保存した豚肉を用いた場合の、水抽出試料中に浸せきしたORP電極とS^<2->イオンセンサの電位変化に及ぼす豚肉の保存期間の影響を検討した。保存期間が長くなるにつれて、ORP電極の電位は著しく低下した。これは、豚肉中の蛋白質が微生物によって分解されたため。、酸化還元物質の濃度が増加したためだと推定される。しかしながら、S2-センサを用いて同様の実験を行った場合には、豚肉の保存期間が5〜10日の間には、保存期間とS^2-センサの電位との間には明瞭な相関が認められなかった。このことから、S^<2->イオンは豚肉の鮮度劣化を追跡するための化学種として適当でないことがわかった。10℃で保存した豚肉を用いた水抽出試料中のpHとNH_4^+濃度変化に及ぼす豚肉の保存期間の影響を検討した。豚肉の保存期間が長くなるにしたがってpH値及びNH_4^+濃度は増加する傾向を示した。ついで、10℃で保存した豚肉を用いた水抽出試料のpH値及び細菌数に及ぼす豚肉の保存期間の影響を検討した。保存期間が長くなるにつれてpH及び細菌数のいずれも増加し、pH値と細菌数との間には明瞭な相関性が認められた。これらの結果より、pH値、NH_4^+濃度及びORP電極の電位を同時にモニターすることによって、本センサシステムは、10℃で保存した豚肉の鮮度劣化を判定できる可能性を持っていることがわかった。
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[Publications] Y.Yano: "Application of a microbial sensor to the quality control of meat freshness"Talanta. 54. 255-262 (2001)
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[Publications] M.Numata: "Determination of hardness in tap water and upland soil extracts using a long-term stable divalent cation selective electrode based on a lipophilic acrylate resin as a membrane matrix"Talanta. 55. 449-457 (2001)
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[Publications] T.Masadome: "Flow injection spectrophotometric determination of anionic polyelectrolytes using the cationic dyes"Analytical Letters. 34. 2711-2719 (2001)
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[Publications] T.Masadome: "Response of surface-plasmon resonance sensor based on gold surfaces modified by self-assembled monolayer to anionic surfactants"Analytical Sciences. 18(公表予定). (2002)