2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12650808
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
今西 誠之 三重大学, 工学部, 助教授 (20223331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 敦 三重大学, 工学部, 助手 (60324547)
武田 保雄 三重大学, 工学部, 教授 (60093051)
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Keywords | プロトン伝導体 / 粘土 / 固体電解質 |
Research Abstract |
プロトン導電性固体電解質として、Nafionと粘土粒子の複合体を検討した。粘土粒子は層状化合物であるスメクタイトを用いた。スメクタイト層間中の交換性カチオンは酸処理によりプロトンに化学的に交換した。複合体においてNafionと粘土粒子の組成重量比が1:1以上になると強度が著しく低下し、膜の形状を維持できなかった。これは有機分子とセラミクス粒子の組み合わせを考える場合常に問題になると考えられる。また、Nafionという表面エネルギーの小さい高分子を用いていることも原因と考えられる。複合体膜の導電率は組成にある程度依存するが、凡そ10^<-5>〜10^<-4>Scm^<-1>(100℃)であった。また膜の含水量に依存し、水分量が多いほど導電率が高くなった。これは水分子が可塑剤として作用し、Nafion中のプロトン導電および粘土層間中のプロトン導電がH_3O^+の形でなされていることを示している。しかし十分に高い導電率が得られないので、より高い酸性を示すセラミクス粒子として粘土の代わりに超強酸と呼ばれる材料を試験した。超強酸として硫酸ジルコニアと呼ばれるジルコニア粒子表面に硫酸根を固定したものを用いた。この材料についても粘土同様、水のない環境ではプロトン伝導を発現しなかった。超強酸の解離度が非常に高いにもかかわらずプロトン伝導が発現しないのは解離後のプロトンが隣接サイトに移動しないことを示している。1000℃近い高温の場合を除いてプロトン伝導はプロトン単独では困難であり、十分な導電率を得るには媒体としての溶媒分子を共存させるか、高分子の融点以上に温度を上げてポリマー鎖の運動性を上げることが必要である。
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