2000 Fiscal Year Annual Research Report
フェライトナノ微粒子を分散した酸化鉄および鉄微粒子の合成とその磁性
Project/Area Number |
12650831
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
重松 利彦 甲南大学, 理学部, 教授 (80109058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町田 信也 甲南大学, 理学部, 助教授 (10190381)
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Keywords | スピネルフェライト / ナノコンポジット / 相分離 / 磁性材料 / 形状磁気異方性 |
Research Abstract |
コバルト亜鉛フェライト-マグネタイト固溶体を通常の固相法で作製した後、空気中250から900℃で酸化した。この酸化に伴う相分離、析出過程をXRD測定、メスバウワー分光法、磁化測定、XPS測定、SEM観察等を用いて検討した。その結果、300℃以下ではへマタイトの析出は認められないが、Co、Znリッチ領域とFeリッチ領域に相分離し、Feリッチな領域はさらなる酸化でy-Fe_2O_3になることを見出した。これに対し、空気中350℃以上の酸化ではへマタイト相の析出が見られた。この温度域での酸化に伴うヘマタイトの析出過程は以下のようであることを見出した。酸化初期は300℃以下での酸化の場合と同様であり、酸化に伴うCo、Znリンチ領域とFeリッチ領域への相分離と、Feリッチな領域のさらなる酸化でコバルト亜鉛フェライト/γ-Fe_2O_3ナノコンポジットが生成した。更なる酸化で、相分離により生成したγ-Fe_2O_3がへマタイトに相変態し、コバルト亜鉛フェライト/ヘマタイトコンポジットとなることを見出した。特に、500℃付近の酸化に伴い生成したコバルト亜鉛フェライト/ヘマタイトコンポジットでは、母相と析出相が薄板状に積み重なった構造をとっていた。この構造を反映して、500℃で酸化し生成したコバルト亜鉛フェライト/ヘマタイトコンポジットで、室温の磁化は約30emu/gと小さいものの、保持力が約1500Oeと高く、新規な硬磁性体合成の可能性を示唆している。今後は、このコバルト亜鉛フェライト/ヘマタイトコンポジットを適当な還元条件で還元し、高い磁化、高い保持力を持つコバルト亜鉛フェライト/マグネタイトコンポジットやコバルト亜鉛フェライト/鉄コンポジットを作製し、次世代塗布用磁性微粒子としての可能性を検討していく。
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