2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12650836
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今田 泰嗣 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (60183191)
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Keywords | 光学活性アレンカルボン酸 / 触媒的不斉合成 / パラジウム触媒 / カルボニル化反応 / 速度論的分割法 / プロパルギルエステル |
Research Abstract |
1,3-二置換アレン化合物は軸不斉を有し、その光学活性体には抗菌作用や酵素阻害作用などの生理作用を有するものも多く、農薬あるいは医薬品としての利用も期待されている。また、アレン化合物は合成中間体としても重要な化合物であり、特に軸不斉を活かした不斉反応への展開が期待されている。しかしながら、現在までに報告されている光学活性アレン化合物の合成法は等量かそれ以上の光学活性化合物を用いる方法に限られている。 本研究の目的は、ラセミ体あるいはアキラルな出発原料から触媒量の不斉源を用いて、広範な光学活性アレン化合物を効率良く合成する手法を開発することである。そのための方法論として(1)不斉転写触媒反応の速度論的光学分割法への適用および(2)アキラルな中間体を経由する触媒的不斉区別反応を計画した。 (1)光学活性パラジウム錯体触媒を用いるラセミ体のプロパルギルエステルの速度論的光学分割を伴うカルボニル化反応を開発した。入手容易なラセミ体のプロパルギルホスフェートを原料とし、光学活性二座ホスフィンを配位子とするパラジウム錯体触媒存在下、カルボニル化反応を行うと、一方の鏡像体のみが優先的に反応し、光学活性アレンカルボン酸エステルが効率良く得られた。また、本不斉カルボニル化反応において、生成物の絶対配置が一酸化炭素圧に依存して逆転する現象を明らかにし、さらに反応機構について詳細な検討を行いその不斉識別機構を明らかにした。 (2)光学活性パラジウム錯体触媒を用いるラセミ体の2,3-ジエニルエステルの不斉求核置換反応を開発した。ラセミ体の2,3-ジエニルホスフェートを原料とし、光学活性二座ホスフィンを配位子とするパラジウム錯体触媒存在下、マロネートアニオンなどのソフトな炭素求核剤を反応させると、光学活性アレン化合物が得られた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Shun-Ichi Murahashi: "Synthesis of Homochiral b-Sulfinyl Nitrones and Their Application for Enantioselective Synthesis of (+)-Euphococcinine"Heterocycles. 52. 557-561 (2000)
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[Publications] Toru Kawakami: "Asymmetric Synthesis of β-Amio Acids by Addition of Chiral Enolates to Nitrones via N-Acyloxyiminium Ions"Bulletin of the Chemical Society of Japan. 73・11. 2423-2444 (2000)
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[Publications] Shun-Ichi Murahashi: "Handbook of Organopalladium Chemistry for Organic Synthesis"John Wiley & Sons(印刷中).