2000 Fiscal Year Annual Research Report
困難とされてきたSN2型反応による有用含フッ素化合物の合成法の確立
Project/Area Number |
12650854
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
片桐 利真 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (70202009)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇根山 健治 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (00033150)
|
Keywords | 有機フッ素化合物 / 分子内求核置換反応 / シクロプロパン / アミノ酸 / 光学活性 / ジアステレオ選択性 |
Research Abstract |
本研究は、困難とされてきたトリフルオロメチル基近傍における求核置換反応の開発と展開を目的とする。本年度は我々の開発した分子内求核置換反応を利用して3員環を持つ含フッ素アミノ酸を合成した。 3員環を含むアミノ酸は植物ホルモンの前駆体等の生理活性物質として興味深い。しかし、側鎖としてトリフルオロメチル基を有するものの合成例はほとんどなく、特に光学活性体の合成例はなかった。 本研究では、市販の光学活性な2,3-エポキシ-1,1,1-トリフルオロプロパンを原料として、ジアステレオマーの関係にあるトリフルオロノルコロナミン酸およびトリフルオロ-アロ-ノルコロナミン酸の2種類の含フッ素3員環アミノ酸の光学活性体を作り分ける方法を開発した。 上記原料エポキシ化合物より、γ-シアノヒドリンを合成し、水酸基の分子内求核置換反応により、1-シアノ-1-アリール-2-トリフルオロメチルシクロプロパンを高ジアステレオ選択的に合成した。このとき、トリフルオロメチル基とアリール基はトランスの関係にあることをX線結晶構造解析法により確認した。このアリール基とシアノ基を高選択的に見分けた認識の機構は興味深い。 得られた3員環化合物のうち、アリール基としてピロリル基のものは、シアノ基の加水分解によりカルボキシル基を構築しピロリル基の酸化分解によりアミノ基を構築し、トリフルオロノルコロナミン酸の光学活性体を得た。アリール基としてジメトキシフェニル基を持つものは、シアノ基をアミド基に変えこれをホフマン型の転位によりアミノ基へ変換しアリール部を酸化分解することによりカルボキシル基を構築し、トリフルオロ-アロ-ノルコロナミン酸の光学活性体とした。 今後は計画どおり、この反応の5員環形成反応への適用の検討、3員環形成反応の適応限界の検討、さらに3員環アミノ酸合成で見られた高ジアステレオ選択性発現機構の解明に研究を進める予定である。
|
Research Products
(1 results)