2001 Fiscal Year Annual Research Report
有機分子によるトリクロロシランの触媒的活性化法の開拓
Project/Area Number |
12650855
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
尾野村 治 長崎大学, 薬学部, 助教授 (60304961)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 功啓 長崎大学, 薬学部, 教授 (60026309)
|
Keywords | トリクロロシラン / イミン / 選択的還元 / アミン / 高配位ケイ素 / ケトン / アルコール / 光学活性 |
Research Abstract |
トリクロロシランはその経済性と物性に由来する操作性の良さから注目されている還元剤であり、BINAPやテニルクロール(除草剤)の合成では工業生産に利用されている。しかし、ケトンなどのカルボニル化合物に対する反応性は低く、これらの化合物の還元には適用できなかった。 今回、トリクロロシランに何らかの活性化剤を添加することにより高配位ケイ素活性種を創出できれば、これまで困難であったトリクロロシランによるケトンやイミンの還元も可能となると考えた。この活性化剤として、ルイス塩基の構造を精査し、触媒量でも有効な活性化剤の開発、および活性化剤の不斉化を行った。その成果を、1)-7)にまとめた。 1)トリク口口シランを触媒量の有機分子によって触媒的に活性化し、ケトン、イミンの還元へ適用することに初めて成功した。 2)活性化剤としてL-プロリン誘導体を用いることにより中程度の選択性で触媒的不斉還元にも成功し、光学活性アルコールの合成法を開発することできた。 3)本反応の活性種と考えられる高配位ケイ素化合物の構造についても、29Si-NMRを用いて若干の検討を行い、高配位ケイ素活性種の存在を明らかにした。 4)この還元剤は従来の還元剤とは異なる高い,位置選択性,ジアステレオ選択性、置換基の識別能力を有していることがわかった。 5)本還元剤は通常使用される水素化ホウ素ナトリウム等とは異なり、カルボニル基共存下でも高いイミン選択性を有していることがわかった。 6)活性化剤としてL-プロリン誘導体を用いることにより中程度の選択性で触媒的不斉還元にも成功し,光学活性アミンの合成法を開発することできた。 7)本研究に関連して,トリクロロシランによるN, O-アセタールとケトンとの直接アルドール反応を開発した.
|