2002 Fiscal Year Annual Research Report
ジニトロンモノマーを用いた新規複素環ポリマーおよびポリマーラジカルの合成と応用
Project/Area Number |
12650860
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
佐藤 力哉 山形大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (30187257)
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Keywords | ニトロン / ジイソシアネート / ビスマレイミド / 環化付加 / 複素五員環 / ポリアルコキシアミン / リビングラジカル重合 / ドーマント種 |
Research Abstract |
モノマー及びポリマーの溶解性を向上させるため、アルキルスペーサーを有する新規ジニトロンモノマーを合成し、ビスマレイミド、ジイソシアネート等のジエノフィルとの環化重合を検討した。その結果、いずれも予想した環化付加重合が進行し、複素五員環構造を有する分子量数万程度の新規ポリマーが得られることがわかった。ここで得られたポリマーの物性を調べたところ、各種溶媒に対する溶解性は、ヘキサンなどの非極性溶媒を除き良好な溶解性を示した。また、TG/DTA測定法による得られたポリマーの熱特性を調べたところ、10%重量損失温度が約300℃と、ある程度の耐熱性を有していることがわかった。また、生成した複素環構造が、天然化合物と類似構造をとっていることから、材料としての使用後の廃棄を考え生物分解性について検討した。分解酵素としてリパーゼ、パパインを用い、37℃水溶液中での酵素によるポリマーの分解を調べたが、顕著なポリマーの分子量低下は観測されなかった。今後は土壌中への埋没試験など更なる検討が必要である。次に、ジニトロンモノマーへのラジカル付加によるポリマーラジカル生成反応を検討するため、ジニトロンージエチルベンゼン共存下各種ラジカル発生剤との反応を検討した。その結果、予想したポリマーラジカルは生成しなかったものの、ジエチルベンゼンとラジカル発生剤との反応で生じたラジカルとジニトロンモノマーとの共重合体であるポリアルコキシアミンが生成することがわかった。アルコキシアミンは、リビングラジカル重合のドーマント種として知られていることから、ここで生成したポリアルコキシアミンのドーマント種としての応用を検討した。その結果、スチレンの重合がリビング的に進行することがわかり、得られたポリアルコキシアミンが、リビングラジカル重合のドーマント種として利用可能であることを明らかとした。
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