2000 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病の対症療法開発を目的としたβ-シート構造ターミネーターの合成
Project/Area Number |
12650861
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山田 哲弘 千葉大学, 教育学部, 助教授 (40182547)
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Keywords | 水素結合 / オルガノゲル / 両親媒性分子 / アルツハイマー病 / β-シート構造 / FT-IR / リオトリピック液晶 / プロリン |
Research Abstract |
トリペプチドとしてPro-Pro-Gluを含む両親媒性分子はProが水素結合のプロトンドナーを欠くため、Phe-Phe-Gluなどのトリペプチドを含む両親媒性分子と混合した場合、水素結合連鎖を停止する機能を有するはずである。研究計画に従い、本年度はPro-Pro-Gluを含む両親媒性分子を合成した。トリペプチドとしてPhe-Phe-Gluを含む両親媒性分子と混合したところゲル形成が阻害され、予想した効果を確認した。この結果はデジタルカメラを用いて記録した。一方、ゲル形成阻害のフーリエ変換赤外(FT-IR)スペクトルによる定量的評価においては、問題点が生じた。Pro-Glu結合にはGlu由来のプロトンが存在するため、このプロトンに起因する水素結合の影響でゲル崩壊とスペクトル変化が連動しない。そこで、現在Pro-Pro-Proを有する一鎖型両親媒性分子を合成している。この分子はいっさいのプロトンドナーを含まない。なお、ゲル崩壊の研究と平行して、より詳細なゲルの構造解析も検討してきたが、その結果、ペプチド型両親媒性分子が有機溶媒中で作る会合体は、リオトロピック液晶で、安定な水素結合の形成とアルキル鎖の安定パッキングが拮抗する結果生ずるものであるなど、今後、ゲル崩壊を研究していく上での新しい知見を得ることができた。これらの結果は、一部を論文として公表するとともに(次頁)、平成13年秋の学会において発表予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Norihiro Yamada: "Formation of β-Sheet Assemblage with a View to Developing an Amyloid Model"Synlett. No.5. 575-586 (2000)
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[Publications] 山田哲弘: "ペプチド脂質の特異的構造形成"油化学. 49・5. 435-446 (2000)
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[Publications] Norihiro Yamada: "Lyotropic Aggregate of Tripeptide Derivatives within Organic Solvents : Study on Dynamic Property of Molecular Assembling"Colloide Surf., A. 169・No.1-3. 271-285 (2000)
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[Publications] 山田哲弘: "有機溶媒中における会合体形成のメカニズムおよびオルガノゲルとの関連"高分子加工. 49・8. 338-343 (2000)
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[Publications] 山田哲弘: "分子集合体によるオルガノゲル形成と構造評価"ネットワークポリマー. 21・4. 199-206 (2000)
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[Publications] Norihiro Yamada: "Lyotropic Aggregate of Tripeptide Derivatives within Organic Solvents : Relationship between Interpeptide Hydrogen Bonding and Packing Arrangements of Components"Langmuir. 17・4. 961-963 (2001)