Research Abstract |
1.研究目的 本研究は、可逆的な構造変換機能を有するゲスト(1.構造チューニングゲスト(STG))、触媒機能を有するゲスト(2.触媒活性ゲスト)およびこれら機能性化合物を包接する無機ホスト化合物(3.ホスト)からなるナノ構造体を合成し、自己応答性(インテリジェント)触媒の合成を試みる。 2.研究成果 カチオン交換性とアニオン交換性の異なるタイプの層状構造を有するイオン交換体をホストに用いて,層間サイズを任意に変化させた。今回用いたホストは,i)スメクタイト系粘土鉱物(テニオライト(TN),ヘクトライト(HT),ii)Ni-Zn酢酸塩(Ni-ZnAc)である。I)はカチオン交換体で,テニオライトはヘクトライトの約3倍のイオン交換容量をもつ。Ii)はアニオン交換体で,テニオライトの1.1倍のアニオン交換容量を持ち,結晶性が高い。これら層状ホストの層間サイズを種々に変化させた層間固定化Rh(I)錯体を創製した。これら,層間固定化錯体を触媒として用いてジエン,アルキン,ケトンなどの不飽和化合物の水素化反応を行い,層間サイズと触媒挙動について詳細に検討した。以下に明らかになった詳細を示す。 <層間制御方法1>STGを用いる場合(1)カチオン交換体の場合:STGには,炭素数が10,14,18の直鎖アルキル基を持つ4級アンモニウム,層間を制御した。その結果,層間サイズが2.51(C10)〜3.72nm(C18)の範囲で制御できた。(2)アニオン交換体の場合:STGには,炭素数が10,14,18の直鎖アルキル基を持つカルボン酸アニオンを用い,層間を制御した。Rh(I)TPPTS錯体アニオンのインターカレーションでは選択的アニオン交換反応を見出した。 <層間制御方法2>STGを用いない場合:層構造を可逆的に変化させる構造チューニングゲスト機能を有する配位子(STL)として4-alkylpyridine(C_npy)および4,4'-dialkyl-2,2'-bipirydine(C_nbpy)(n=1,5,9)を用いRh(I)STL錯体,[Rh(COD)(C_npy)_2]ClO_4,[Rh(COD)C_nbpy]ClO_4を合成した。これら錯体をHTおよびTNへのインターカレートさせることで,1.9(C_1)〜2.72nm(C_9)の範囲で層間サイズを制御した固定化錯体を得た。 <触媒反応>種々の分子サイズの異なるオレフィン,アルキンおよびケトンの水素化反応で,層間サイズに依存して反応活性が著しく変化し,分子サイズ選択性を示した。 <ゲルの固定化>PVMEの固定化を試みたが,極性を付与させたPVMEが得られず,層間固定化は見られなかった。
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