2000 Fiscal Year Annual Research Report
チェインド・クロモフォアを骨格とする新しい非線形光学液晶高分子
Project/Area Number |
12650878
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
川内 進 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (80204676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 順次 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (90111666)
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Keywords | 非線形光学効果 / 量子化学計算 / 分子動力学計算 / 強誘電性液晶 / ポリエステル / 液晶高分子 |
Research Abstract |
大きな二次の非線形光学効果を示す有機非線形材料は、一般に同時に可視域に吸収を持つという欠点があった。本研究の目的は、このような欠点を回避した大きな非線形光学効果を有する新しい液晶高分子材料を創出することである。そのために、エステル結合などでクロモフォアが複数連結した(チェインド・クロモフォア)骨格を選び、量子化学計算や分子動力学計算による分子設計とともに、実際に合成して得られた化合物の構造解析や非線形光学効果等の物性評価を連動させた研究を進めてきた。 本年度は、以下のような研究実績が得られた。 (1)4-hydroxybenzoic acid(HBA)オリゴマーについて、ダイレクターをすべて同じ方向に向けた場合(強誘電性液晶のモデル)や交互に配置した場合などの代表的パッキングを始状態とした分子動力学計算を行い、X線回折パターンをシミュレートし、HBAホモポリマーの実測値との比較を行った。比較の結果と非線形光学効果の測定から、ホモポリマーは強誘電性液晶相を有していることが示唆された。 (2)HBAメタ体を主成分のパラ体に共重合成分として加え、高分子の直線性を変えた場合のHBAポリマーの液晶相、非線形光学効果を測定した。その結果、液晶相の対称性が変わることが判明し、主鎖に垂直なダイポールの配向も強誘電相の発現に重要な役割を演じていることが示唆された。 (3)末端基のドナー・アクセプター性を変えた様々なチェインド・クロモフォア・モデルについてabinitio量子化学計算を行い、超分極率を求めた。その結果、カルボン酸とシアノ基がアクセプターとして有望であることがわかった。
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