2000 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー加熱による高分子材料の延伸・熱処理で発現する高次構造と力学特性について
Project/Area Number |
12650880
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
鈴木 章泰 山梨大学, 工学部, 助教授 (70216357)
|
Keywords | 炭酸ガスレーザー加熱 / 延伸 / 熱処理 / ポリ(エチレンテレフタレート)繊維 / ナイロン6繊維 / 高強度・高弾性率化 / 配向性 / 結晶性 |
Research Abstract |
平成12年度では、炭酸ガスレーザー加熱システムの構築および処理条件の最適化を主たる研究の目的とする。この目的を達成するために、以下に示す研究実施計画に従って実験を進めた。 (1)炭酸ガスレーザー(現有設備)で繊維を均一に加熱できるように光学系を作製した。また、レーザー加熱時の繊維の表面温度を測定するために温度分布解析装置(購入設備)をレーザーの光学系に組込み、レーザー加熱延伸および熱処理時における繊維表面の温度測定が、正確に行えるようになった。 (2)レーザー出力、延伸張力および繊維の移動速度を種々変えてポリ(エチレンテレフタレート)(PET)およびナイロン6繊維を種々の条件下でレーザー加熱延伸および熱処理を行い、得られた繊維の延伸倍率と複屈折の関係から、延伸条件と配向性との相関を求め、高い延伸効率が得られる条件を決定した。 (3)最適条件で延伸したPETおよびナイロン6繊維の配向性および結晶性を向上させ、その力学的性質をさらに改善することを目指し、レーザー加熱延伸繊維にレーザー熱処理を施した。その結果、PET繊維では、25℃における動的弾性率は約30 GPa、結晶化度は約55%および複屈折は約0.26に達し、力学特性、結晶性や配向性も極めて高い繊維を得ることができ、また、ナイロンにおいても同様の傾向が見られた。これらの結果は、炭酸ガスレーザーゾーン延伸・熱処理法が繊維の力学的性質を向上させるのに有効であることを示唆する。 なお、以上の結果は、平成12年9月に開催された高分子学会において発表され、現在学術雑誌に投稿中である。また、平成13年5月と6月に開催される学会において、発表する予定である。 さらに最近、PET繊維を高いレーザー出力の下で高速でレーザー延伸を行うと、繊維は超延伸され、繊維径が10μm以下になることが確認された。得られた繊維の直径は均一でほぼ無配向である。この繊維をさらに延伸・熱処理することで、超微細繊維作製の新たな方法となることが期待される。
|