2000 Fiscal Year Annual Research Report
絡み合い高分子の流動誘電緩和:高速流動下の非平衡分子運動に対する基礎的研究
Project/Area Number |
12650884
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡辺 宏 京都大学, 化学研究所, 助教授 (90167164)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 正志 京都大学, 化学研究所, 助手 (80201937)
尾崎 邦宏 京都大学, 化学研究所, 教授 (00027046)
|
Keywords | 絡み合い / 非ニュートン流動 / 非平衡分子運動 / 流動誘電難和 / ポリイソプレン |
Research Abstract |
本研究は、高速流動下での絡み合い鎖の非平衡運動を流動誘電緩和の手法で検出・解析し、非平衡運動と非線形粘弾性の関係を明らかにすることを目的とする。この目的達成のため、本年度は、一連の直鎖型ポリイソプレン(PI)試料をアニオン重合して特性解析を行った。また、主電極と対電極の間の同軸円筒状キャピラリー流路に沿って加圧試料を高速流動させながら誘電測定が行えるステンレス製同軸キャピラリー型の流動誘電緩和セル(キャピラリー間隙0.2mm、流路長35mm)を設計・作成した。 このセルを用いて、上記のPI試料のバルク系および濃厚溶液系について流動誘電緩和測定を行ったところ、緩和時間が短い低分子量系では十分に非ニュートン性が発現するまでの高速流動が実現できず、流動誘電挙動は静止状態での挙動から変化しなかった。また、緩和時間が長い高分子量系では、非ニュートン性が発現する高速流動は実現できたものの、今回用いたキャピラリー流路中では定常流動が実現されず、流動誘電挙動は静止状態での挙動から僅かにブロードニンクを示すに留まった。 上記の測定結果を用いて高速流動下での非平衡絡み合い運動を定量的に論じ、非線形性に対する管理論(Mead et al.,Macromolecules,31,7895(1998))を検証することには無理がある。そこで、この問題をふまえて、測定対象を高分子量の準希薄絡み合い溶液に変更し、大容量の同軸キャピラリー型および円錐-円板型の流動誘電セルと吸収電流型低周波回路を用いた測定に切り替ることにした。現在,この高分子量PI試科の合成および円錐-円板型セルと吸収電流型回路の試作がほぼ完了した所である。
|