2001 Fiscal Year Annual Research Report
キトサン・ヨウ素複合体の超分子形成とその温度履歴挙動の究明およびその生理機能評価
Project/Area Number |
12650889
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
矢島 博文 東京理科大学, 理学部, 助教授 (10147506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
指輪 仁之 産業技術総合研究所, 関西センター・人間系特別研究体, 研究員 (20205884)
菊地 武司 倉敷芸術科学大学, 産業科学技術学部, 教授 (90195206)
深井 文雄 東京理科大学, 薬学部, 助教授 (90124487)
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Keywords | 多糖類 / キトサン・ヨウ素錯体 / 分光特性 / 構造解析 / 分子シミュレーション / 熱履歴挙動 / 分子集合 / 生理機能 |
Research Abstract |
平成13年度の研究実績を以下ににまとめる。 1)キトサン・ヨウ素(ChI)錯体の錯形成機構および分子特性の解明を目的に、ChI錯体の物理化学的特性に及ぼすキトサンの脱アセチル化度(DDA)および分子量効果、ならびに反応試剤の濃度依存性を検討した。また、多糖の化学構造とそのヨウ素錯体の特性との相関性を究明するため、ChI錯体と比較して、水溶性N-メチル化キトサン(NMCh)、アミロース(Am)、およびセルロース(Ce)のヨウ素錯体の性質について調べた。そして、ChI錯体に対する生理活性試験として、抗菌試験と創傷治癒効果に対する関連試験を行った。 2)本研究では、重量平均分子量Mw11,000(DDA98%)のキトサン(Ch)を中心に、DDA=35,44,49,59,73,89,98%,Mw=6500,11000,13800,25200のChを使用した。ChIおよびNMChI錯体は我々が開発した凍結解凍法により調製した。また、CeI錯体は過剰なZnCl_2存在下で室温にて調製した。 3)結果として、いずれ糖鎖のヨウ素錯体とも、500-650nm付近に特性吸収帯とそれに対応する短波長から長波長へ正負に分離したCD帯を有した。ただし、錯形成にはCh鎖として約50%以上のDDAが必要であり、また分子量の増加に伴い、深色移動および深色効果が観測された。 4)溶液小角X線(SAXS)散乱による構造研究より、ChIの錯形成は、ヨウ素・Ch濃度の増加に伴って非化学量論的にChの分子間水素結合ネットワークからなる凝集構造の成長を起し、ヨウ素の規則的配列構造を形成するとともに、呈色能の増加を誘引すると示唆された。 5)ChI錯形成に対する熱履歴挙動は、Chの分子特性(DDA、分子量、側鎖構造)によらず観測されたが、AmI錯体およびCeI錯体には観測されなかった。 6)分子動力学的予測より、糖鎖構造と熱履歴挙動との関係は、糖鎖の分子特性、すなわち、「Ch鎖はEnergy Surfaceが不連続なため伸長構造と折れ畳み構造の間には不可逆性が存在し、一方、Am鎖は、ラセン構造を底としたダウンヒル状のEnergy Surfaceをしている」ことに基づくと示唆された。ただし、Ch鎖と同じ分子特性をもつと予想されるCe鎖がCh鎖と異なり、熱履歴現象が観測されない理由は、「Ce鎖とZnCl_2クラスターとの間に働く強い相互作用により、Ce鎖の構造転移が抑制されたため」と推察された。 7)生理活性試験として、大腸菌に対する抗菌試験とNIH/3T3細胞(マウスの正常線維芽細胞)に対する創傷治癒効果に対する関連試験を行った。現時点までに得られた結果に関する限り、ChIおよびNMChI錯体の生理活性の向上、有効性・特異性を見出すことは出来なかった。現在、腫瘍増殖抑制効果を検討中である。 以上の結果は、論文2報(投稿中)、Proceedings 2報、および国内の学会発表12件(うち4件5月発表予定)で報告した。
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Research Products
(1 results)