2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12660015
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
齊藤 邦行 岡山大学, 農学部, 助教授 (60153798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 俊郎 岡山大学, 農学部, 教授 (10032301)
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Keywords | 水稲 / 理想的草型 / 穂の垂直分布 / 穂の傾斜角度 / 個体群光合成モデル / 多収性 / 受光態勢 / シミュレーション |
Research Abstract |
穂の分布域や形態は光の透過を通じて個体群光合成に著しく影響し,タカナリのように相対的に穂の分布域の低い穂や,中国117号のように直立した穂は個体群光合成を高く維持する上で有利であると推察された.そこで本年度は,門司・佐伯の個体群光合成モデルを用いて,穂の着生域が個体群光合成速度に及ぼす影響の推定を試みた. 前年度に比較を行った,日本晴,タカナリ,中国117号について,個体群光合成速度のパラメータを設定して,光強度と個体群光合成速度との関係を求めた.いずれの光強度においてもタカナリ>中国117号>日本晴の順に高く,圃場での測定結果を再現できた.また,止葉切除,穂切除による個体群光合成速度の計算値の変化は実測値に比べ小さかったが,品種間の相対的な関係は実測値と同様だった.穂の着生位置を変化させて計算を行った結果,3品種とも穂の着生位置が低下するに従って個体群光合成速度は上昇し,その程度は,タカナリ>日本晴>中国117号の順に大きかった.日本晴の葉群にそれぞれの穂を着生させた個体群を仮想して,穂の着生位置を変えて個体群光合成を計算した結果,穂の着生位置の最高位置が60cm程度になると穂の形態の相違が個体群光合成に及ぼす影響は小さくなった.日本晴と比較してタカナリの個体群光合成は,LAIが2以上で大きくなったのに対して,中国117号ではLAIが4前後のみしか有利性は認められなかった. 以上の結果より,中国117号はせまい面積に多くの籾を配置する効率的な構造を有しており,しかも特定の層に集中することなく,穂の存在する層に均等に分配されることによって太陽光の穂による遮光を最低限に押さえる構造を有すると考えられた.一方,タカナリは大きく広がった持ちながらも,大きな上位葉が穂の上層に多く抽出されることによって,穂よりも高い位置にある葉身が穂の遮光の影響を受けることなく光合成を行い,高い光合成能力を維持していると考えられた.十分に繁茂した個体群においては,大きな穂を草高の3/5程度の位置に巨大な穂を着生させることが多収穫には有利であると考えられた.
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