2002 Fiscal Year Annual Research Report
植物ウイルス移行タンパク質を発現する植物の選択的ウイルス抵抗性の機構解明
Project/Area Number |
12660039
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Research Institution | IWATE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
吉川 信幸 岩手大学, 農学部, 教授 (40191556)
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Keywords | 植物ウイルス / 細胞間移行タンパク質 / ウイルス抵抗性 |
Research Abstract |
本年度はリンゴクロロティックリーフスポットウイルス(ACLSV)の細胞間移行タンのパク質(MP、50KP)とブドウえそ果ウイルス(GINV)のMP(39KP>の相互作用を調べ、次の結果が得られた。 2種類の蛍光(YFPとCFP)でそれぞれ標識したMPをNicotiana occidentalis植物の表皮細胞で共発現させ、50KPと39KPの細胞内での相互作用を解析した。39KP-YFPを50KP-CFPと共発現させると、発現細胞の約90%で、両MPとも細胞間移行が阻害され、単一細胞にとどまった。同一細胞内で検出されたYFPとCFPの蛍光ほとんどの場合に凝集塊を形成し、YFPとCFPの細胞内分布はほぼ一致していた。これに対して、50KP-YFPあるいはリンゴステムグルービングウイルスのMP(36KP)-YFPを、50KP-CFPと共発現させた場合には、YFP蛍光は一次発現細胞から周辺細胞に広がった。39KP-YFPの細胞間移行はACLSV-外被タンパク質(CP)との共発現では阻害されず、同様にGINV-CPと共発現した50KP-YFPも細胞間移行した。 39KPと50KPの共発現で観察さた両MPの移行阻害が、それらのmRMAによるものなのか、あるいは翻訳されたタンパク質によるものかを明らかにする目的で、39KP-YFPを発現するプラスミドp35S39KP-YFPを、50KPを発現するp35S50KP、および50KPにストップコドンを導入したp35Sstop50KPと共に表皮細胞に導入したところ、50KPとの共発現で39KP-YFPの細胞間移行は阻害されたが、P35Sstop50KPと共に導入した場合には阻害されなかった。また50KP-YFPも39KPとの共発現した掛合には細胞間移行が阻害されたが、stop39KPとの共発現では移行が認められた。以上の結果から、39KPと50KPが同一細胞に存在すると、お互いの細胞内および細胞間移行を阻害し合うことが明らかになった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] M.Isogai, Y.Saitou, N.Takahashi, T.Itabashi, M.terada, H.Satoh, N.Yoshikawa: "The 50-kDa protein of Apple chlorotic leaf spot virus interferes with intracellular and intercellular targeting and tubule-inducing activity of the 39-kDa protein of Grapevine berry inner necrosis virus"Molecular Pabt-Microbe Interactions. 16. 188-195 (2003)
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[Publications] 吉川信幸, 磯貝雅道: "Movement protein発現植物のウイルス特異的抵抗性とそのメカニズム"日本植物病理学会 植物感染生理談話会論文集. 38. 13-22 (2002)
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[Publications] 斉藤安史, 板橋達彦, 磯貝雅道, 吉川信幸: "リンゴクロロティックリーフスポットウイルスの欠失型50Kタンパク質を発現する形質転換植物ブドウえそ果ウイルスに対する反応"日本植物病理学会誌. 68. 55-56 (2002)
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[Publications] 北島綾子, 吉川信幸: "リンゴクロロティックリーフスポットウイルス50Kタンパク質の師管への集積と師管内での分布"日本植物病理学会誌. 68. 228 (2002)
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[Publications] 北島綾子, 磯貝雅道, 吉川信幸: "リンゴクロロティックリーフスポットウイルス50Kタンパク質および外被タンパク質の感染植物師部組織での分布"日本植物病理学会誌. 69. 35 (2003)