2002 Fiscal Year Annual Research Report
リボソームRNAの高度保存部位に見られる蚕に特異的な塩基配列とその機能解析
Project/Area Number |
12660053
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
内海 利男 信州大学, 繊維学部, 助教授 (50143764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中垣 雅雄 信州大学, 繊維学部, 教授 (70135169)
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Keywords | リボソーム / 28SrRNA / 蚕 / タンパク質生合成 / 部位特異的塩基異変 / 翻訳装置 / 共塩基置換 |
Research Abstract |
高いタンパク質合成能を示す蚕のリボソームでは、GTPaseドメインと呼ばれるrRNA機能部位に特徴的な塩基配列が見られる。すなわち、28S rRNAで高度に保存されているはずの塩基、U-1094とA-1098(塩基番号は大腸菌の命名法に従う)が蚕ではそれぞれCとGに変化している。この塩基置換のリボソーム機能への効果を探る目的で、本年度は、大腸菌の相同RNAである23S rRNAのU-1094とA4098を蚕型であるCとGに塩基置換しその効果をin vitroとin vivoの両面から解析した。 RNA断片を用いたin vitroゲルシフト法により、蚕型塩基を導入した大腸菌RNAと大腸菌リボソームタンパク質L11とL10-L7/L12複合体との結合性を分析した。その結果、蚕型塩基の導入により、各タンパク質の結合性は低下したが、両タンパク質を共存させることで安定なRNA-タンパク質複合体が形成されることを確認した。この結果は、蚕型配列を大腸菌rRNAに導入しても、リボソームタンパク質が集合し、リボソーム粒子が形成される可能性を示唆するものである。大腸菌rDNA (rrnB)を含むプラスミド中で23S rRNAにC-1094とG-1098を導入し、これを用いて大腸菌を形質転換した。形質転換大腸菌の生育速度は減少したが、長時間の培養で菌体が得られた。菌体からリボソームを調製し、その中に蚕型RNA配列を含むものが存在するかどうか分析した。逆転写酵素を用いたプライマー伸長法によるRNA塩基配列の分析により、得られたリボソームの約50%に蚕型配列が含まれることを確認した。 本年度の結果は、蚕型配列を導入した大腸菌23S rRNAにも細胞中でリボソームタンパク質が結合し、リボソーム粒子形成が生じることを示している。得られた蚕型RNA配列を含むリボソームの機能解析が今後の研究として残された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Shimizu, T., Uchiumi T.et al.: "Interaction among silkworm ribosomal proteins P1, P2 and PO required for functional protein binding to the GTPase-associated domain of 28S rRNA"Nucleic Acids Res.. 30. 2620-2627 (2002)
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[Publications] Uchiumi, T.et al.: "Translation elongation by a hybrid ribosome in which proteins at the GTPase center of the Escherichia coli ribosome are replaced with rat counterparts"J. Biol. Chem.. 277. 3857-3862 (2002)
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[Publications] Uchiumi T.et al.: "Ribosomal proteins at the stalk region modulate functional rRNA structures in the GTPase center"J. Biol. Chem.. 277. 41401-41409 (2002)
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[Publications] Hasegawa, H., Uchiumi, T.et al.: "Autoantibody against ribosomal protein L14 in patients with systemic lupus erythematosus"Clin. Exp. Rheumatol.. 20. 139-144 (2002)