2000 Fiscal Year Annual Research Report
タイワンシロアリの営巣活動が亜熱帯森林の土壌環境に与える影響
Project/Area Number |
12660062
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
河口 定生 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (20091366)
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Keywords | タイワンシロアリ / 土壌環境 / 造巣活動 / 亜熱帯林土壌 / セルラーゼ活性 / ラッカーゼ活性 / ホスファターゼ / 担子菌:オオシロアリタケ |
Research Abstract |
タイワンシロアリが栽培している担子菌:オオシロアリタケの菌床形成が、亜熱帯森林土壌の物質循環に及ぼす影響を明らかにするため、菌床形成に伴う木本材料の有機構成成分の変化とそれらに関連する木質分解酵素の活性分布、タイワンシロアリの造巣活動が,周辺土壌の理化学的性質及び酵素活性に対する影響を検討した。 菌床形成に伴う木本材料の有機構成成分変化は、沖縄県石垣島登野城のオオギバショウと西表島のモクタチバナ・リュウキュウアオキ林において、ヘミセルロース、セルロース、リグニンの順に大きく、菌床における著しい有機物分解が認められた。また、この有機構成成分を分解する炭水化物加水分解酵素のセルラーゼ活性、β-グルコーシダーゼ活性、及びリグニン分解酵素のラッカーゼ活性は非常に高く、菌床における活発な難分解性炭素化合物の分解を支持した。林床リッターの無機化あるいはシロアリに利用される割合は、石垣島で85.1%,西表島で48.2%と、高かった。タイワンシロアリの栽培している。オオシロアリタケは、菌園に多く含まれるリグニンを分解し、リグニン・セルロース複合体の結合をゆるくし、キノコシロアリが菌園を摂食した際に,セルロースの分解・消化を容易にする、いわゆる、菌は体外消化管としての役割が明らかになった。 菌床の周辺土壌では、対照土壌に比べて窒素、炭素、特に可給態リンが増大し、土壌の冨栄養化に寄与していた。可給態リンに比例して活性の高いアルカリホスファターゼは、土壌粘土と正の相関が大きく、長期間土壌に安定して存在して、土壌のリン循環に大いに関与することが示唆された。
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