2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12660063
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
佐藤 幸一 北里大学, 獣医畜産学部, 助教授 (10110876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 長一 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (30162374)
徳永 光一 岩手大学, 農学部, 名誉教授
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Keywords | X線 / 根成孔隙 / 粗孔隙 / 孔隙形態 / 土壌構造 / 土壌物理性 / 火山灰土壌 / プラントオパール |
Research Abstract |
本研究は、徳永らが創出した「土壌間隙のX線立体造影法」が、植物根に由来する「根成孔隙」が土壌粗間隙として卓越することを明らかにしたが、まだ未解明な根成孔隙の耐久性や消長の究明を目的とする。従来の研究では、徳永らが十和田火山灰土で16万年、中国・藍田の黄土で32万年の耐久性をえた。そこで、本研究は72万年前以上の堆積断面を岩手火山灰土で探索に成功したので深度方向に連続採土し、根成孔隙の連続性、耐久性、示相化石としてのプラントオパールについて検討した。研究方法は、土層断面が既知な岩手山北部に位置する西根地区(3層、13〜72万年前:江刈内、沼宮内、松内層)と岩手川口(12層、72万年前以前:岩手川口(4層)、玉山(7層)、寺林(1層))の火山灰土を対象とした。採土は、深層で古層が存在する表層部から下層部を年代別に求めた。孔隙形態は4.2cm立方体の試料をX線と造影剤(CH_2I_2)を用いた立体造影法で求めた。根成孔隙の耐久性は孔隙の劣化階級(0:健全、1:軽度、2:中度、3:重度、4:消滅)で示した。結果の概要は、各供試土の土性が粗砂質壌土から軽埴土の範囲に分布し、乾燥密度が高く、透水係数が低い火山灰として繊密な土壌であった。X線造影法で求めた孔隙形態は、西根地区の根成孔隙が健全から軽度の分布をしていた。岩手川口の表層部では明瞭な根成孔隙が示され劣化階級で示すと健全であった。下層部の玉山は劣化程度が少ない軽度から消滅に近い重度までが混在していた。最下層部の寺林は根成孔隙が示されなかった。根成孔隙の連続性は深さが約1m単位では変動が少なく、1m以上で変動が見られた。また、植物珪酸体は根成孔隙の種類の同定に示相化石性として妥当性が見られた。以上をまとめると、根成孔隙は、前期更新統の72万年前の土層において連続性が認められ透水性に関与し、一部下層で孔隙形態が消滅しているが、層全体では耐久性がみられ、示相化石性としての意義も有していた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 佐藤 幸一: "岩手火山灰土壌におけるX線造影法で求めた根成孔隙の消長"日本土壌肥料学会講演要旨集. 47集. 2-2 (2001)
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[Publications] 佐々木 長市: "岩手川口火山灰土における間隙の連続性と変動"平成13年度農業土木学会大会講演会講演要旨集. 174-175 (2001)
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[Publications] Koichi Sato: "Studies on the formation and durability of pore systems formed by toots which affect water retention and drainage actions of the soil"Transaction of 17^<th> ICSS. (2002)
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[Publications] 佐藤 幸一: "岩手火山灰土壌における根成孔隙の消長とプラントオパール"日本土壌肥料学会講演要旨集. 48集. (2002)