2002 Fiscal Year Annual Research Report
初期生体防御系におけるストレスシグナル受容体としてのスフィンゴ糖脂質
Project/Area Number |
12660076
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
谷 史人 京都大学, 農学研究科, 助教授 (70212040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北畠 直文 京都大学, 農学研究科, 教授 (30135610)
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Keywords | 熱ショックタンパク質 / 自然免疫 / マクロファージ / B細胞 / スカベンジャー受容体 |
Research Abstract |
熱ショックタンパク質(hsp)はシャペロン機能の他に免疫系への機能も有することが報告されている。前年度において、免疫細胞に作用するにはマウス誘導型hsp72の543残基以後のC末端の構造が重要であることを明らかにした。本年度は、hsp72と相互作用する分子に関する実験を行い、以下の成果を得た。 まず、数種の免疫細胞との結合を比較した。マクロファジ(MΦ)系であるRAW264.7細胞、Bリンパ球系細胞であるP388D1細胞とTリンパ球系細胞であるEL4細胞、mastocytomaであるP815細胞を用いた。その結果、EL4細胞とP815細胞に対しては標識Hsp72は結合しなかったが、P388D1細胞やRAW264.7細胞には特異的な結合が観察された。また、C末端を欠失したHsp72変異体d615の免疫細胞への結合を比較したところ、P388D1細胞へのd615の結合が低下したのに対して、腹腔MΦへの結合は逆に亢進した。この結果から、RAW264.7や腹腔MΦのMΦ系細胞とP388D1のようなBリンパ球系細胞ではHsp72を認識する受容体が異なる可能性を指摘した。次に、P388D1細胞においてHsp72のC末端と相互作用する受容体分子の検索を試みた。プロテアーゼ処理した細胞へのHsp72の結合を解析したところ、プロテアーゼKおよびトリプシン消化した細胞へのHsp72の結合が有意に低下したため、受容体はタンパク質性であることが示された。P388D1細胞へのHsp72結合を阻害するような化合物を探すことによって、その特徴から受容体の候補を検討した。ビオチン化Hsp72とP388D1細胞を反応させる際に各種化合物を共存させ化合物の影響を調べた結果、オボアルブミン,トランスフェリンはHsp72のP388D1細胞への結合を阻害しなかったが、フコイダン,ラクトフェリン,マレイル化BSAやEDTAの共存下では結合の低下が見られた。これらの化合物はスカベンジャー受容体のリガンドとして知られているので、Hsp72に対する受容体はスカベンジャー受容体の一種であるか、あるいはスカベンジャー受容体と似た結合特性を持つ他の受容体である可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)