2002 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌の定常期における死菌に特異的な溶菌の分子機構
Project/Area Number |
12660081
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山田 守 山口大学, 農学部, 教授 (30174741)
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Keywords | 大腸菌の定常期細胞死 / 死菌の溶菌 / RpoEレギュロン / 窒素源枯渇 / 細胞死 |
Research Abstract |
大腸菌等の細菌は栄養豊富な培地で生育させると定常期初期に90%以上が急激に死ぬことが知られている。報告者はこの細胞死機構の解析過程で死菌の溶菌を促進する変異株を分離し、その解析からこの溶菌は未知のRpoE(σ^E)レギュロンによって行われることを示唆した。本研究では定常期の死菌の溶菌に関与するRpoEレギュロンを明らかにし、死菌の溶菌の存在意義や生理的役割を明白にすることを目的として、平成14年度は以下の研究をすすめた。 1.死菌の溶菌に関わるRpoEレギュロンの検索:昨年度、溶菌時に発現の変動する蛋白を2次元電気泳動とTOF-MASSを組み合わせて検索し、既知のRpoEレギュロン蛋白4個に加えて、発現の高まった5個の蛋白を見出した。RpoEの誘導発現系を構築し、これら蛋白遺伝子の発現をRT-PCRで解析した結果、新たなRpoEレギュロンであることが示唆された。しかしながら、これらの遺伝子破壊株は野生株と同様に溶菌を引き起こすことから、溶菌に直接関与していないと思われる。2.構築したRpoE誘導発現系を用いて、RpoE誘導にともなって溶菌が起こることを確認し、RpoEレギュロンが溶菌に直接関与することを示した。3.RpoE誘導発現系を用いて、1時間のRpoE誘導によるゲノム遺伝子の発現変動をDNAマイクロアレイによって検討した。既知のRpoEレギュロンに加えて、予想以上に多くの遺伝子が変動していることが示された。発現が5倍以上5分の1以下のものがそれぞれ130,49遺伝子見つかった。今後変動した個々の遺伝子について溶菌に関連するか否か検討する必要がある。5.合成培地での細胞死や死菌の溶菌現象の再現:一昨年度から、窒素源枯渇による細胞死誘導や同条件下でのRpoEレギュロンによる溶菌を示してきた。その窒素源枯渇による細胞死誘導条件下での遺伝子発現変動をDNAマイクロアレイによって解析した。その結果、数百の遺伝子が有為な発現変動を起こしていることが示された。特に、rpoSレギュロンやrpoHレギュロンの多くの発現が減少していることから、これらの遺伝子が細胞死に関与する可能性がある。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] H.Izu et al.: "Differential expression byIHF and cAMP of two oppositely oriented genes, hpt and gcd, of Escherichia coli : significance of their partially overlapping regulatory elements"Mol. Genet. Genomics.. 266. 865-872 (2002)
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[Publications] M.Yamada et al.: "Characterization of the ves gene, which is expressed at a low temperature in Escherichia coli"J. Mol. Microbiol. Biotech.. 4. 163-163 (2002)
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[Publications] J.A.Quan et al.: "Regulation of carbon utilization by sulfur availability in Escherichia coli and Salmonella typhimurium"Microbiol.. 148. 123-131 (2002)