2001 Fiscal Year Annual Research Report
コケ細胞内のメバロン酸経路/非メバロン酸経路の局在性とその生物的意味の解明
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12660094
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Research Institution | OBIHIRO UNIVERSITY OF AGRICULTURE AND VETERINARY MEDICINE |
Principal Investigator |
鍋田 憲助 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (70093911)
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Keywords | コケ / ツクシウロコゴケ / シダレゴヘイゴケ / 葉緑体 / テルペノイド / メバロン酸 / デオキシキシルロースリン酸 / フィトール |
Research Abstract |
昨年度シダレゴヘイゴケ(Ptychanthus striatus)培養細胞中でのフィチル側鎖生合成で、ファルネシル-2-リン酸(FPP)部分への優先的な取込みを、[2,2-^2H_2]-及び[2-^<13>C]メバロン酸(MVA)の取り込み実験で確認した。FPP由来部分の優先的な標識が何故おこるのかをcytosolと葉緑体でのテルペノイド生合成のコンパートメンテーションの観点から証明するために、分離した葉緑体への前駆体の取り込み実験を行い、以下の結果を得た。 1)無傷の葉緑体をシダレゴヘイゴケやツクシウロコゴケHeteroscyphus planus培養細胞から分離した。コケ葉緑体は分離途中で分解せず、無傷のままで得られることが判った。 Ptychanthus striatusやH. planusの葉緑体脂質には主たるテルペノイドとしてフィトールが見い出され、そのほかファルネソールとゲラニルゲラニオールが微量成分として見い出された。 2)分離された無傷葉緑体を用いた放射性イソプレニル2リン酸の取り込み実験によってコケの葉緑体エンベロープはFPPに対して高い透過性を示すが、IPPに対してはずっと低いことが示された。GPPはその中間である。イソプレニル2リン酸の取り込みが鎖長の長さによることから、葉緑体膜と前駆体分子間のlipophilic interactionによって葉緑体への前駆体の取り込みが促されると考えられる。葉緑体に取り込まれたFPPのゲラニルゲラニル-2-リン酸(GGPP)への転換も確認した。このことから、コケ植物におけるフィチル側鎖の非等価な標識は、細胞質で合成されるMVA由来のFPPの葉緑体への選択的な取り込みと内生デオキシキシルロースリン酸由来のIPPとの縮合によるGGPPの合成の結果と考えられる。
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Research Products
(1 results)