2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12660104
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
鈴木 義勝 理化学研究所, 微生物制御研究室, 副主任研究員 (00087579)
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Keywords | 病害自己防御 / イネ / アルキルレゾルシノール |
Research Abstract |
我々は植物が持つ化学的病虫害自己防御機構のなかで特に病害防御に関わる化学物質を探索し、従属栄養期の黄化芽生えイネの根部及び表面にアルキルレゾルシノール(ARs)という強い抗菌活性を示す物質が高濃度で蓄積することを明らかにしている。本抗菌物質の病害に対する機能を明らかにするとともにこれを病害防御へ応用することを最終目標に、イネARsの生成・蓄積の制御機構の解明を行った。本年度は、(1)ARsの病害防御効果を調べるとともに(2)ARsの代謝経路の解明を進めた。 (1)ジャポニカ型イネ(ササニシキ)種子はARsを全く生成・蓄積しない。これにARsをコーテイングし、イネいもち病菌の胞子との共存下で発芽伸長試験を行ない病害防御効果を調べた。ARs処理区は無処理区と比べ伸長阻害度の軽減が見られられ、ARsはイネいもち病菌に対して防御効果を示した。 (2)黄化芽生えに光を照射するとARsレベルが急速に低下することからARs代謝が起きたことが示唆されている。そこで、ARsの代謝産物を得るべく黄化芽生えに室内灯を照射した試料について精査したところ、溶媒抽出区よりアルキル側鎖が酸化解裂したレゾルシノール(AR-A_8)を新規物質として単離・同定した。また、AR-A_8が黄化芽生えには存在しないことから本物質がARsの代謝産物であることが明らかになった。AR-A_8のARsからの生成機構についても推定した。この過程で、黄化芽生えイネからARsの二重結合の位置異性体を新たに同定した。
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Research Products
(1 results)