2000 Fiscal Year Annual Research Report
新規評価法を活用したポリフェノールの抗動脈硬化作用機構解析
Project/Area Number |
12660114
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
長岡 利 岐阜大学, 農学部, 助教授 (50202221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清島 満 岐阜大学, 医学部, 教授 (10171315)
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Keywords | アポリポタンパク質A-I / 動脈硬化 / ゲニステイン / ポリフェノール / HepG2 / HDL / コレステロール / エストロゲン受容体 |
Research Abstract |
血清中の高密度リポタンパク質(HDL)は、末梢組織のコレステロールを肝臓に運び、抹消組織のコレステロールを除く作用を持つ。疫学調査によれば血漿中のHDLレベルが高いと心臓血管疾患は少なく、さらに、動脈硬化にかかる危険性と、アポリポタンパク質A-I(apoA-I)の血漿中濃度との間には反対の関係があるといわれている。apoA-IはHDLの主要なタンパク質であり、HDLレベルはapoA-Iレベルに依存するので、apoA-I発現を調節する因子を探索し、その機構を解明することは、高コレステロール血症や動脈硬化症に対する予防や改善を考える上で、非常に有用である。 また最近では、野菜や果実などの植物に広く存在するポリフェノールの抗酸化能やガン、動脈硬化などへの影響が注目を集めている。最近我々は、大豆イソフラボンなどのポリフェノールがapoA-Iの遺伝子発現に対して影響を与えることをみいだしたが、その作用機構の詳細は明らかではない。そこで本研究では、ヒト肝ガン由来株化細胞であるHepG2細胞を用いて、HepG2の培地に大豆ゲニステインを添加した場合に分泌されるapoA-I、及びapoA-ImRNAレベルに与える影響と、その機構を調べることを目的とした。その結果、ゲニステインはapoA-Iの遺伝子に作用してmRNAレベルを上昇させることにより、apoA-Iレベルを上昇させることが明らかにされた。さらにゲニステインによるapoA-I遺伝子の転写活性化は、エストロゲン受容体αを介して誘導される可能性があることが初めて示唆された。
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