2001 Fiscal Year Annual Research Report
腸管環境下におけるアシル化アントシアニン退色物の生成機構と機能性の解明
Project/Area Number |
12660124
|
Research Institution | MINAMI-KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
寺原 典彦 南九州大学, 園芸学部, 教授 (60155471)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 利郎 九州大学, 農学部, 助教授 (20238942)
|
Keywords | 赤アサガオ / アシル化アントシアニン色素 / AGH阻害活性 / 人工腸液 / 退色分子種 / シュードベース / カルコン / 分取ODS-HPLCシステム |
Research Abstract |
(1)赤アサガオアントシアニン色素からの退色物の単離法検討 平成12年度に確立した方法で単離したアシル化アントシアニン色素類のうち,最もAGH阻害活性の高い赤アサガオ花弁からのSOA-1を一夜(16時間),腸管環境下(pH6.8,37℃)に置いた。最適条件下でPDA-HPLC分析をした結果,この反応液中にはシュードベース(B),発色型分子種(残存フラビリウムまたはアンヒドロベース(AH^+/A))およびカルコン(C)と思われる3種類の成分の明瞭なピークが見られた(310nmでの面積比は,それぞれほぼ2:1:1であった。)。 この反応液より,分取ODS-HPLCシステムを用いてSOA-1からの退色分子種(BおよびC)の単離・精製を試みた。溶離液として酢酸系溶媒ではうまく分離できなかったが,人工腸液用のリン酸緩衝液(50mM, pH6.8)を用いた場合(A液:蒸留水;B液:50%リン酸緩衝液,50%アセトニトリル)にはB成分と他の成分(AH^+/A,C)とが分離し,B成分を再現性よく単離できた。 (2)単離退色物の化学構造検討 単離した成分Bは323nm付近に吸収極大を持ち,SOA-1がもっていたカフェ酸が脱離していないことが判明した。また、ESI/TOFMSにより分子量測定を行った結果,SOA-1のAH^+/A型分子種が水和された後,脱プロトン化し,更にK^+が結合したと思われる明瞭な分子イオンピーク(m/z=1299=B(1260)+K^+(39);AH^++H_2O+K^+→[B+K]^++H^+)が観察された事より,成分Bは予想通りSOA-1が水和退色して生成したシュードベースであることが強く示唆された。現在,NMRによる構造解析を進めている。また、残りの成分(AH^+/A成分とC成分)の単離についても検討中である。
|