2000 Fiscal Year Annual Research Report
土砂輸送レートの水系内分布特性と水系土砂動熊の解析
Project/Area Number |
12660126
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
清水 収 宮崎大学, 農学部, 助教授 (20178966)
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Keywords | 土砂輸送 / 河川水系 / 土砂動態 / 滞留現象 / ダム堆砂 |
Research Abstract |
今年度は空知川流域内で選定した11流域において、満砂している治山・砂防ダムの堆砂量と堆砂年数を現地調査し、これらの流域の土砂輸送レートを得た。また、これら空知川流域内の11流域のほか、既に土砂輸送レートを調査済みの沙流川流域内の42流域について、地形図から地形特性値を読み取り、水系網の構造特性の解析に着手した。さらに、空知川流域の金山ダムの貯水池堆砂資料を収集し、堆砂量の経年変化について検討した。 1.空知川流域は地質的に白亜紀堆積岩地域と第四紀火山岩地域、および活火山地域からなるが、土砂輸送レートの計測の結果、白亜紀堆積岩流域と第四紀火山岩流域は同程度で、活火山流域はこれらより1オーダー大きい値であった。この結果に沙流川流域での既往調査結果も含めて整理すると、活火山流域と第三紀堆積岩流域が最も輸送レートの大きいグループで、これらから1オーダー小さい輸送レートを示すのが白亜紀堆積岩流域と第四紀火山岩流域のグループである。 2.水系網の構造特性については解析の途中段階にあり、明確な結論は得ていない。しかし、予備的解析として、地形特性のうち河道幅と土砂輸送レートとの関係を同一地質条件の中で検討すると、河道幅の広い流域では輸送レートが小さい傾向が認められた。河道幅は土砂の滞留空間量を表わす指標とみなされるので、河道での土砂滞留現象が輸送レートの低減に反映されていると解釈できる。現在、河道幅はダム長によって代用しているので、次年度の課題の一つは水系内における河道幅分布の推定方法を開発することである。 3.金山ダムの年間堆砂量は長期的に減少傾向にある。この理由として、既往最大出水(ダム完成の5年前)による流域への荒廃インパクトがその後弱まりながら続いている、という仮説を立て、検討を開始した。
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