2001 Fiscal Year Annual Research Report
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12660132
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
肘井 直樹 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (80202274)
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Keywords | スギ / カラマツ / 人工林 / 節足動物 / 虫糞トラップ / 鱗翅目幼虫 / シジュウカラ / ヤマガラ |
Research Abstract |
林相、樹種組成・特性の大きく異なるスギ人工林、カラマツ人工林、および広葉樹林を対象として、おもにclipping(枝葉採集)法によって、節足動物の群集構成や個体数・現存量、および樹木の量的特性とそれらの関連性について調査を行った。また、単木ごとの生枝下高直径-葉量間の相対成長関係をもとに、節足動物データと毎木調査から樹上節足動物群集の密度を推定する方法を開発した。 代表的な森林性昆虫食鳥類であるシジュウカラ科(Paridae;以下、カラ類)は、その繁殖において生息環境の餌条件の影響を強く受けることが知られている。そこで、上記人工林において、シジュウカラ(Parus major)およびヤマガラ(P.varius)の繁殖生態と餌資源利用様式を、餌資源の量的・質的特性との関連から評価した。カラ類の主要な餌資源である、樹冠層に生息する鱗翅目・膜翅目幼虫の現存量の指標として、カラ類の樹冠部における主要な採餌場所である3つの植生(スギ、カラマツ、落葉広葉樹林)における落下虫糞量を測定したところ、落下虫糞量はこれら植生間で異なっており、さらに鱗翅目・膜翅目幼虫の現存量はスギ優占区よりもカラマツ優占区で多いことが示唆された。落下虫糞トラップ内における虫糞サンプルの残存率と降雨量の相関から、降雨に伴う落下虫糞サンプルの重量減少を補正する方法を新たに開発し、2週間あたりの落下虫糞サンプルの重量減少率は、針葉樹では雨量にかかわらず一定で、スギで14%、カラマツで12%、一方、落葉広葉樹では雨量と有意な正の相関を持ち、平均約27%であることを明らかにした。また、カラ類の潜在的な餌資源としての節足動物の利用可能性を明らかにすることを目的として、3植生の樹冠部と下層植生において節足動物を採集したところ、節足動物の生物量や群集構成は4つの植生間で異なることが示された。以上の結果から、カラ類2種の利用可能な餌資源の量的・質的特性は、植生間、調査区間で異なると考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hijii, Naoki: "Estimating density and biomass of canopy arthropods in coniferous plantations : an approach based on a tree-dimensional parameter"Forest Ecology and Management. 144. 144-157 (2001)
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[Publications] Mizutani, Mizuki: "Mesuration of frass drop for evaluating arthropod biomass in canopies : a comparison among Cryptomeria japonica, Larix kaempferi, and deciduous broad-leaved trees"Forest Ecology and Management. 154. 327-335 (2001)
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[Publications] Mizutani, Mizuki: "The effects of arthropod abundance and size on the nestling-diet of two Parus species"Ornithological Science. 1(印刷中). (2002)