2002 Fiscal Year Annual Research Report
火山地域における地下水に関与した崩壊の水文地形学的研究
Project/Area Number |
12660141
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
地頭薗 隆 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (50145455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺本 行芳 鹿児島大学, 農学部, 助手 (10301392)
井倉 洋二 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (60203270)
下川 悦郎 鹿児島大学, 農学部, 教授 (60041670)
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Keywords | 火山地域 / シラス台地 / 地下水 / 崖錐崩壊 / 土石流 / 水文地形学 / 水文観測 / 水質調査 |
Research Abstract |
本研究は,火山地域で発生している地下水に起因した崩壊のメカニズムを解明するとともに発生場を予測するための基礎データを得ることを目的とした。南九州火山地域に試験地を設け,地形学と水文学を総合した調査を行った。得られた成果は以下のように要約される。 1.シラス谷の低水時の流量は,シラス堆積前の基盤地形から推定した地下水集水域面積によく対応した。したがってシラス台地内の地下水はこの基盤地形に規制されて移動しているとみてよい。シラス斜面脚部の崖錐崩壊の発生位置は基盤地形において谷や凹地に分布している。シラス谷における低水時の流量は,崖錐崩壊とそれを発生源とする土石流のおそれがあるシラス谷を抽出するための指標として有効であると考える。 2.シラス斜面脚部の崖錐内の地下水位は降雨から数時間で上昇をはじめる。これは,台地面から浸透してシラス層内のガス抜けパイプや冷却亀裂に入った雨水がパイプ流として素速く基盤まで達し,台地周縁脚部から流出していることに起因していると考えられる。 3.一方,シラス斜面崖錐部の地下水位変化には降雨から数カ月〜6カ月程度遅れて反応する長期的な変動もみられた。これはシラス層内をマトリックス流として移動する遅い雨水移動に起因していると考えられる。遅い雨水移動による崖錐地下水位の高い状態と大雨時の速い雨水移動による地下水位の急上昇が重なると崖錐崩壊の危険が高まる。シラス斜面脚部の崖錐崩壊発生の予測には崖錐地下水位の長期的な変動と大雨時の急上昇の両方を考慮する必要がある. 4.シラス台地からの雨水流出と崖錐部の地下水位変動をタンクモデルで再現できた。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] 地頭薗 隆: "南九州の火山地域における崩壊の水文地形学的検討"地すべり. 36・4. 14-21 (2000)
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[Publications] 地頭薗 隆: "深層崩壊発生場の予測法に関する検討-出水市針原川流域における水文観測-"平成12年度砂防学会研究発表会概要集. 8-9 (2000)
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[Publications] 松本 舞恵: "植生を指標とした表層崩壊発生場の予測"平成12年度砂防学会研究発表会概要集. 344-345 (2000)
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[Publications] 地頭薗 隆: "鹿児島県の自然と土砂災害"桜島 キャンプ砂防in桜島2000講演集. 1-14 (2000)
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[Publications] 地頭薗 隆: "シラス斜面崖錐の崩壊に関する水文地形学的検討"平成13年度砂防学会研究発表会概要集. 388-389 (2001)
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[Publications] 地頭薗 隆: "深層崩壊発生場の予測の試み-鹿児島県出水市矢筈岳山体を例にして-"水利科学. 45・2. 1-16 (2001)
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[Publications] 地頭薗 隆: "南九州火山地域における地下水型崩壊の予測"士砂災害に関するシンポジウム講演論文集. 9-12 (2002)
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[Publications] MATSUMOTO M.: "Revegetation Process and Topsoil Development on Shallow Landslide Scars, and Prediction of Potential Shallow Landslide Sites"International Congress Interpraevent 2002 in the Pacific Rim-Matsumoto/Japan Congress publication. 2. 883-892 (2002)
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[Publications] 地頭薗 隆: "シラス地域の水文地形とシラス斜面崖錐部の崩壊"地形. 23・4. 611-626 (2002)