2000 Fiscal Year Annual Research Report
日本周辺海域のカタクチイワシの資源構造に関する研究
Project/Area Number |
12660161
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青木 一郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (40114350)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷内 透 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (00012021)
|
Keywords | カタクチイワシ / 産卵 / 耳石 / 成長履歴 / ローカル群 |
Research Abstract |
1.相模湾と本州東方沖合域の産卵特性を比較した。その結果、外洋域においては、成熟体長が大きいこと、産卵間隔が短いこと、1回当り産卵数が多いこと、産卵水温が低いことがわかった。また、九州沿岸で採集した成魚では、産卵特性は相模湾と類似していた。資源高水準期に出現する沖合産卵群は、成熟は遅れるが、その後はより再生産にエネルギーを配分するというように、内湾や沿岸域で産卵する群と大きく異なる産卵生態をとっていることが明らかになった。 2.北海道から九州までの太平洋側と日本海側から計6地点からの成魚の耳石微細輪紋を電顕によって調べた。孵化後60日くらいまでの耳石日周輪からみて初期成長には海域による差があった。南の海域で高く、北の海域で低い傾向にあった。太平洋側の相模湾と本州東方沖合域に分布する成魚の初期成長も異なり、両群が回遊によってつながっているというよりも別の生活履歴を持つ個体群である可能性もある。このように、発生海域と分布域を異にするいくつかのローカル群の存在が示唆された。一方、形態学的には差がなかった。 3.本州東方沖合域で採集した仔稚魚と成魚の15N安定同位対比はいずれも相模湾に比べて低い値であった。特に、成魚では2〜3パーミルも低かった。しかし、環境中のプランクトンとの比較では仔稚魚の15Nおよび13Cは採集地点の食性を反映しているとはいえなかった。仔稚魚が採集地点とは環境中の餌生物の同位対比が異なる海域から移動してきて間もない可能性が示唆された。
|