2001 Fiscal Year Annual Research Report
海産稚魚への内分泌かく乱物質の異性体別雌性ホルモン様活性の検討と資源への影響解析
Project/Area Number |
12660164
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
橋本 伸哉 静岡県立大学, 環境科学研究所, 助教授 (10228413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
STRUSSMANN Carlosa Augusto 東京水産大学, 水産学部, 助手 (10231052)
高田 秀重 東京農工大学, 農学部, 助教授 (70187970)
渡辺 精一 東京水産大学, 水産学部, 教授 (40106753)
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Keywords | 内分泌かく乱物質 / 異性体 / 雌性ホルモン様活性 / 精巣卵 / 海産魚 / 水産資源 / バイオアッセイ / 分取キャピラリーガスクロマトグラフ |
Research Abstract |
本研究では、日本近海の環境試料中の内分泌かく乱物質の測定を行い(Kannan et al., Environmental Science and Technology 2000;Isobe et al., Environmental Science and Technology 2001)次に、内分泌かく乱物質による水産資源への影響解析を行うため魚類の調査を行った。(橋本伸哉,恒星社厚生閣2000年;久保田仁志ら,日本水産学会誌2001年;飯島憲章ら,日本環境毒性学会誌2001年;Sulistiono et al., Fisheries Science in press ; Cho et al., Histological abnormalities in the gonads of konoshiro gizzard shad(Konosirus punctatus)from coastal areas of Japan,投稿中)さらに、分取キャピラリーガスクロマトグラフとバイオアッセイ(MCF-7)を用いる生化学的試験方法とを有機的に融合させ、内分泌かく乱物質の異性体別雌性ホルモン様活性の分析化学的生物検定法を確立した。(Hashimoto et al., An automated enantiomeric isolation system using gas chromatograph-preparative fraction collector for the individual analysis of estrogenic potency in chiral compounds,投稿中) 研究の結果、以下のことが判った。 東京湾底泥コア中の内分泌かく乱物質の測定を年代ごとに行い、東京湾では1970年代以前から雌性ホルモン様活性物質が湾内に流入していたことがわかった。また、マコガレイへの雌性ホルモン様活性物質による影響をこれまでに調査してきたが(平成10-11年度 科研費 基盤研究C2 代表 橋本伸哉)、本研究では東京湾に生息するコノシロを新たに調査した。その結果、オスのマコガレイに見られた精巣卵よりもさらに進んだ精巣卵が見られ、この現象が特定の魚種にのみ見られる現象ではないことを明らかにした。さらに、本研究で開発した「異性体別内分泌かく乱物質自動分取装置」は、内分泌かく乱物質の異性体別雌性ホルモン様活性の研究に大変有効であることが判った。本研究によって、わずかな構造上の違いを有する物性が類似した化学物質グループを三次元的危険性評価空間上にプロットすることが可能となった。 メダカに、女性ホルモンを与え精巣卵の発現を調べた結果、低温ではより低濃度の女性ホルモンにより精巣卵が発現することがわかった。今後、雌性ホルモン様活性物質の魚類に対する影響における水温の関与について、さらに研究を進める予定である。(Miranda et al., General and Comparative endocrinology, in press)
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[Publications] Kurunthachalam Kannan: "Vertical profiles of dioxin-like and estrogenic activites associated with a sediment core"Environmental Science and Technology. 34. 3568-3573 (2000)
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[Publications] 飯島憲章: "瀬戸内海周防灘及び広島湾のマコガレイに対するエストロジェン様内分泌攪乱物質の影響実態"日本環境毒性学会誌. 4. 45-53 (2001)
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[Publications] L.A.Miranda: "Immunocytochemical identification of GtH1 and GtH2 cells during the temperature-sensitive period for sex determination in pejerrey, Odontesthes bonariensis"General and Comparative Endocrinology. (印刷中).
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[Publications] Tomohiko Isobe: "Distribution and behavior of nonylphenol, octylphenol, and nonyiphenol monoethoxylate in Tokyo metropolitan area -their association with aquatic particles and sedimentary distributions"Environmental Science and Technology. 35. 1041-1049 (2001)
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[Publications] 久保田仁志: "小支流におけるイワナ、ヤマメ当歳魚の生息数、移動分散および成長"日本水産学会誌. 67. 703-709 (2001)
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[Publications] Sulistiono, S.: "Growth and reproduction of the cat fish Macrones in the esturine of the Bungawan Solo River, Indonesia"Fisheries Science. (印刷中). (2002)
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[Publications] 橋本伸哉: "水産学シリーズ126 水産環境における内分泌攪乱物質(共著) 野生生物の内分泌攪乱現象の現状と原因物質"恒星社厚生閣. 129 (2000)