2001 Fiscal Year Annual Research Report
下痢性貝毒を保有する微小プランクトンの探索に関する研究
Project/Area Number |
12660170
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
今井 一郎 京都大学, 農学研究科, 助教授 (80271013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 紘之 京都大学, 農学研究科, 教授 (80026567)
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Keywords | 下痢性貝毒 / 渦鞭毛藻 / Dinophysis fortii / 混合栄養 / ナノプランクトン / ピコプランクトン / オカダ酸 / ELISA |
Research Abstract |
食用二枚貝が毒化する下痢性貝毒(DSP)は,公衆衛生のみならず,出荷規制がなされることから水産上の大問題でもある。DSPの原因生物として渦鞭毛藻の仲間のDinophysis属9種が現在知られるが,原因藻の発生と貝の毒化が必ずしも対応せず,毒化の機構は不明な点が多い。近年,Dinophysis属の種は餌生物を捕食する事が報じられ,毒成分を含有する何らかの微小生物を,Dinophysis属が摂食して二次的に毒化するという仮説が立てられる。本研究では,対象となる有毒微生物として微紬藻に照準を合わせた。 本年度は,ホタテガイに下痢性貝毒が頻繁に検出される青森県陸奥湾を対象に,青森県水産増殖センターの協力を得て,海水試料を研究室へ送付してもらい入手した。海水中に存在する,下痢性貝毒の原因生物とされているDinophysis属を計数すると同時に,海水を孔径5μmのNuclepore filterで濾過し,濾液画分中の微小粒子をガラス繊維濾紙に捕集して,ELISA法を用いてオカダ酸群のDSP毒を測定した。その結果,公定法のマウスアッセイ法によりホタテガイが規制値以上に毒化したという時期の1週間前から,また毒化期間中,及び規制値以下へと毒が減少した後の少しの期間に,ELISA法によって微小プランクトン粒子画分中にDSP毒が検出された。D.fortii発生との対応関係は,良い場合と悪い場合が有り,D.acuminataの場合は対応関係が認められなかった。 これまで下痢性貝毒のモニタリングに,原因プランクトンとしてDinophysis属の原因種とされるものの計数が,海水の濃縮処理を経て行われてきたが,対応関係が薄く問題となっていた。本研究の結果により,海水中のプランクトン粒子を全て捕集し,ELISA法を用いてDSP毒をモニターする事の有効性が示唆された。
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Research Products
(1 results)