2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12660172
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西澤 豊彦 広島大学, 生物生産学部, 助手 (10222184)
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Keywords | 天然ヒラメ / 魚類病原ウイルス / アクアビルナウイルス / VHSV / 病原性 |
Research Abstract |
我が国の沿岸に生息する天然ヒラメのウイルス保有状況を調査するために、まず1999〜2000年にかけて9海域沿岸(北海道羽幌、北海道噴火湾、岩手県宮古湾、若狭湾、南伊豆、愛媛県伯方島、徳島県播磨灘、宮崎県日向および長崎県五島)で捕獲された天然ヒラメ(計283尾)の脳および頭腎組織から既存の魚類由来株化細胞(FHM、EPC、RTG-2およびSSN-1細胞)を用いてウイルスの分離を試みた。その結果124検体からウイルスが分離され、43.8%の天然ヒラメが何らかのウイルスに感染していることが明らかになった。分離されたウイルスについて検討したところ、113検体から分離されたウイルスがアクアビルナウイル(ABV)に、18検体から分離されたウイルスがウイルス性出血性敗血症ウイルス(VHSV)に同定され、さらに1検体から分離されたウイルスについては未同定である。なお、全検体中7検体がVHSVとABVに、また1検体がABVと未同定ウイルスに混合感染していた。VHSVは若狭湾および瀬戸内海海域で捕獲された検体からのみ分離されたが、アクアビルナウイルスの検出率は海域間で有意差が認められなかった。分離されたウイルスのヒラメに対する病原性について予備的に検討したところ、ABVには病原性が認められなかったが、VHSVには強い病原性が確認された。 VHSVは、国際獣疫事務局(OIE)が定めた「届け出必要疾病」の原因体の一つであり、本研究過程で我が国にもVHSVが存在することが明らかになり、さらに瀬戸内海域の養殖ヒラメで問題となっていたウイルス感染症もVHSVによることが明らかになった。 平成13年度は、天然ヒラメ以外の魚種についてウイルスの保有状況調査を行う。また、分離されたVHSVの生理学的性状、病原性および分子生物学的性状について検討し、諸外国で報告されているVHSVとの関係を明らかにする。
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Research Products
(1 results)