2000 Fiscal Year Annual Research Report
「食の外部化」メカニズムと家計の機能に関する計量経済分析
Project/Area Number |
12660199
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
草苅 仁 宇都宮大学, 農学部, 助教授 (40312863)
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Keywords | 食の外部化 / 家計 / 家事サービス / 市場の失敗 / 家計モデル / 計量経済分析 |
Research Abstract |
少子・高齢化が進む日本では、「食の外部化」が進行して家事サービスの一部が市場で提供されるサービスへと代替した。その結果、個食化や家族関係の疎外化につながる弊害も生じた。これは、「食の外部化」については家計と市場が完全な代替機会とはなり得ない(家計と市場のサービスは完全代替財ではない)という示唆を与えていると考えられる。 少子・高齢化社会に対応するための生活関連サービスは、市場メカニズムを活用して整備されるべきであるが、同時に家計の機能を支援することで行き過ぎた外部化がもたらす「市場の失敗」に対処するための施策も必要である。今後、最適な家計と市場および政府の役割分担を実現するための基礎的研究として、「食の外部化」メカニズムと家計の機能を経済的に解明することが本研究の目的である。 研究初年度にあたる平成12年度は、データの収集・整理と家計モデルの構築を中心に、研究計画に沿って以下の作業を実施した。 1)食の外部化は家計の時間配分(家事労働、雇用労働、余暇への配分)の変化を伴う市場財への代替プロセスである。『家計調査』『社会生活基本調査』『国民生活時間調査』『労働力調査』などの統計資料から食の外部化と家計の時間配分との関係について確認した。 2)家計における家事サービスの生産と消費活動との関係を記述した家計モデルと、このような家計モデルに依拠した実証分析について、既往研究のレビューを行った。 3)上記2)をふまえて、本研究の目的に適合する家計モデルを構築した。従来の家計モデルでは、家事サービスと市場が提供するサービスが完全に代替することを想定していたが、これを不完全代替関係も含むように拡張した。また、家事サービスの生産には規模の経済がみられるので、資本財の設定を工夫した双対アプローチによって、研究目的に整合的なモデルとした。
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