Research Abstract |
標題研究2年目となる今年度は,我が国の外・中食産業に価格破壊の波を起こしたファーストフード,その中でも最大の売上高(2001年度上半期で1838億円)で,業界の低価格戦略をリードし続けているマクドナルドと,それに対してハンバーガーチェーンとしては最大の店舗数を誇り,食材へのこだわり路線で健闘しているモスバーガーを対象に,消費者行動とその要因を調査分析した。 具体的には,東京都内におけるマクドナルド14店舗,およびモスバーガー7店舗の利用者268人(有効回答者数244)を対象に,店頭前での直接面接法によってアンケート調査を行った。 その結果,(1)マクドナルド利用者は男性が多いことに対し,モスバーガーにおいては女性の比率が多いこと,(2)双方共にサラリーマンや学生が多いこと,(3)1回に使う金額はマクドナルドが500円程度なのに対して,モスバーガーは600円以上が多いこと,(4)モスバーガーの利用者は,牛丼を含め外食の利用頻度が低いこと,などが分かった。 また,利用回数を基準としたクロス集計分析の結果,(1)1ヶ月の利用回数が多いのは,マクドナルドでは男性,モスバーガーでは女性であること,(2)双方共に19歳から24歳の利用が多いこと,(3)マクドナルドでは低収入者の,またモスバーガーでは高収入者の利用が多いこと,(4)マクドナルドでは利用回数が多い者ほど外食費の予算が低い(3万円未満)のに対して,モスバーガーでは高い(3万円以上)こと,などが判明した。 以上の集計分析の結果から,マクドナルドでは中学・高校またはサラリーマンの男性といった,外・中食への依存度が高くかつ低価格を指向している消費者が,また,モスバーガーでは,OLなど20歳前後の特に女性が,消費の中心となっていることが明らかにされた。 このように,本調査・分析では消費行動と個入属性との関係を数値化することに成功したが,この結果は,今後,脱低価格路線を目指さざるを得ない外・中食業界にとって大変有用なデータといえよう。
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