2000 Fiscal Year Annual Research Report
中山間地域における農業集落の構造と機能に関する経済分析
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12660201
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小田切 徳美 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (10201998)
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Keywords | 中山間地域 / 集落 / 集落協定 / 集落機能 / 人口高齢化 / 中山間地域等直接支払制度 / 地域資源管理 / 集落分布構造 |
Research Abstract |
現在、わが国の「中山間地域」では、過疎化・高齢化の進行にともない、地域の基礎的自治組織である集落の諸機能の脆弱化が進みつつある。本研究では、そうした現象の実態把握とメカニズムの解明を目的としているが、特に初年度である本年は次のよう研究に取り組んだ。 第1に、農林水産省「農業センサス農業集落調査結果」(1970年、80年、90年)のデータを、本研究の主要なフィールドである山口県を対象に、すべての集落について、(1)地域資源維持管理機能、(2)農業生産補完機能、(3)生活扶助機能、(4)自治機能の動態について整理し、集落にかかわる統計データセットを作成した。第2に、中山間地域の市町村担当者や集落代表者からのヒヤリングを行い、集落の動態や行政組織との関連等を把握した。さらに第3に、2000年度より実施されている中山間地域等直接支払制度について、その導入状況と集落機能との関連について、県内の中山間地域の全市町村についてのアンケートを実施し、その回答と1のデータとのリンクを試みた。 以上の結果、統計分析からは、(1)集落諸機能の現状は、集落の住民や農家戸数との関係が見られること、(2)集落構成住民の高齢化状況や地域リーダーの有無が、特に農林地にかかわる地域資源管理を中心とする集落諸機能の後退に強く関連していることが確認された。また、実態調査やアンケート調査から、集落協定の締結をひとつの条件とする中山間地域等直接支払においても、その導入と活用に、集落構成住民の高齢化状況や地域リーダーの有無が大きな影響を与えていることが明らかとなった。 しかし、同時に、そうした傾向には、同一地域内での格差も大きく、その集落分布構造等の地域内分布状況パターンの分析が、要請されていることも明らかにされた。
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